「サゴシって、なんかまずいよね…」
釣り人や食通の間で、そんな声を耳にすることは少なくありません。
サゴシはサワラの若魚の呼び方ですが、サワラとは違い脂が少なく、臭みが出やすいことから「まずい魚」と思われがちです。
しかし私は、これまでサゴシやサワラを含めて100匹以上釣って食べてきた実体験がありますが、正しく処理して調理すれば実は美味しく食べられます。
この記事では、
・なぜサゴシが「まずい」と言われるのか
・サワラとの味や食感の違い
・美味しく食べるための下処理とおすすめの調理法
について、釣り人目線でわかりやすく解説します。
サゴシはまずいって本当?そう言われる3つの理由

結論から言えば、「サゴシ=まずい」というのは半分正解で、半分誤解です。
確かにサゴシは、釣ってすぐに食べると生臭さが強かったり、身がパサついていたりして、「まずい…」と感じる人も少なくありません。
ですが、その原因の多くは魚自体の味ではなく、「処理の仕方」や「鮮度の落ちやすさ」によるもの。
私も初めて釣って食べたときは正直「これはハズレかな…」と思ったのですが、血抜きや冷やし方を工夫することで味が一変。今ではしっかり処理されたサゴシなら、サワラに負けないくらい美味しい魚だと断言できます。
ここでは、なぜ「まずい」と思われがちなのか、その主な理由を3つ紹介していきます。
生臭さが強く感じやすい
サゴシは青魚の仲間で、もともと血合いや脂の多い魚。そのため、釣った直後にしっかりと処理をしないと、時間とともに急激に生臭さが増してしまいます。
特に夏場など水温が高い時期は、クーラーにすぐ入れず放置してしまうだけで、表面や内臓から臭いが出てしまい、それが身に移ってしまいます。
また、内臓の中に消化途中のベイト(小魚など)が残っている場合、それが腐敗の原因になることも。
しっかりと血抜き・神経締め・内臓除去を行い、氷締めで冷やすことで生臭さはかなり軽減できますので、「サゴシ=生臭くてまずい」と思ってしまった方は、この処理を見直すだけで味の印象が大きく変わるはずです。
身がパサつきやすい
サゴシは水分量の多い柔らかい身質で、加熱調理にすると水分が抜けやすく、パサついた食感になりがちです。
特に焼きすぎや揚げすぎは禁物で、ただの塩焼きや唐揚げにしてしまうと、モサモサした食感が強くなり「まずい」と感じる方が多い理由の一つです。
また、冷凍保存したサゴシを解凍した際にもドリップが大量に出て旨味が流れ出てしまい、結果として水っぽくて旨味のない身になってしまうことも。
対策としては、短時間でふっくら火を通す調理法(西京焼き、煮つけなど)や、衣をまとわせるムニエル・フライ調理が効果的。パサつき防止に加えて旨味も閉じ込められるため、サゴシの評価が大きく変わります。
骨が多くて食べづらい
サゴシは小骨が非常に多い魚としても知られており、特に中骨や血合い骨の処理を怠ると、食べる際にストレスを感じることが多いです。
見た目が細身で食べやすそうな魚体とは裏腹に、三枚おろしの時点で骨の多さに驚く人も少なくありません。骨が細かくて柔らかいため、完全に取り除くのも難しく、子どもや魚に慣れていない人には不向きと感じられがちです。
ただし、骨抜き処理を丁寧に行うか、骨ごと加熱して柔らかくする調理法(煮つけ、圧力調理など)を選べば、気にならずに食べられるようになります。
手間はかかりますが、一度丁寧に下処理しておけば美味しくいただける魚です。
サゴシがまずい理由はサワラとの違いにあり?見た目と味を徹底解説!

サゴシとサワラは実は同じ魚の成長段階による呼び名の違いです。とはいえ、「サゴシはまずいのにサワラは美味しい」と言われることも多く、味の違いが気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは見た目・味・調理法の違いを中心に、サゴシとサワラの違いを分かりやすく解説します。
サゴシはサワラの若魚|サイズと地域で呼び名が違う
サゴシとサワラは別の魚ではなく、実は同じ魚です。「サワラ」の若魚(成長途中)を「サゴシ」と呼ぶのが一般的で、これはいわばブリとワカシ・イナダの関係に近いもの。呼び名の境界は明確に全国で統一されているわけではなく、地域によって呼称のルールも多少異なります。
一般的に、体長60cm未満程度を「サゴシ」、それ以上のサイズを「サワラ」と呼ぶことが多いです。釣り人の間では「70cm以上でようやくサワラ」とすることもあり、基準はあいまいです。
ちなみに私は見栄っ張りなので、80cm以下は大サゴシと呼んでいます笑
また、関東や関西、九州といった地域によっても呼び方が異なります。一部地域では「ヤナギ」や「ナギ」と呼ばれることもあり、釣りや市場流通の現場ではその土地ならではの呼称が使われることも少なくありません。
このように、サゴシとサワラは「成長段階による呼称の違い」であるため、分類上は同一種。しかし、味や食感には大きな違いがあるため、料理や食用としての評価はまったく別物になることが多いのです。
サワラは脂が乗っていて刺身も◎|サゴシは加熱向き
サワラとサゴシでは、同じ魚種であっても味に明確な差があります。特に評価が分かれるのは「脂の乗り具合」です。
大きく成長したサワラは、身にしっかりと脂が乗り、しっとりとした口当たりが魅力。刺身や炙りでも美味しく、特に冬場に水揚げされる寒サワラは、トロにも匹敵するほどの旨味があるとされています。
ただし、サワラの中にも痩せ細った個体や、サゴシの中でもまるまる太った個体もいて、それについては評価が逆転します。
実際に私もサワラは本当に好きな魚のひとつで、釣ってすぐに処理をしたサワラの刺身は、感動するほど絶品でした。船上でそのまま捌いて、氷締めした身を薄く引いて食べたときのとろける食感は忘れられません。
一方で、サゴシは成長段階が若いため、身が淡白で脂がほとんどない個体が多いです。また、皮と身の間に血合いが多く、そこが臭みの原因になることも。刺身ではパサつきやクセを感じることが多く、「まずい」と言われる大きな理由にもなっています。
しかし、加熱調理にすると話は別。脂が少ない分、火の通りも早く、竜田揚げや西京焼きなどでは非常に食べやすくなります。臭みを抜く下処理をしっかり行えば、サゴシも立派な食材に変わります。
このように、サワラ=生食も可、サゴシ=加熱向きという使い分けを意識することで、それぞれの美味しさを最大限に引き出すことができます。
▼サワラの味についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください▼

「サゴシはまずい」を覆す!最強のレシピと美味しくする下処理テク

サゴシは「まずい」と言われることもありますが、実際には処理と調理次第で十分に美味しくなる魚です。 特に釣り上げた直後の対応が重要で、鮮度を保つための下処理を怠ると、身に臭みが残ってしまいます。 また、調理法によっても味の印象が大きく変わります。
ここでは、私自身がこれまで実践してきたサゴシの下処理方法と、実際に「これは美味しい!」と感じたおすすめの調理法を4つに絞ってご紹介します。 どれも家庭で手軽にできるものばかりなので、ぜひ試してみてください。
釣ったらすぐに血抜き&ヌメリ取りが必須
サゴシは夏に釣れやすい魚で、釣り初心者でも手軽に狙える人気ターゲットのひとつです。 ただし非常に傷みやすく、釣った直後の処理が味を大きく左右します。
まず最優先すべきは血抜きです。エラを切って海水に浸けることで血をしっかり抜きましょう。血が残っていると独特の臭みの原因になります。
その後はヌメリ取りが必須です。サゴシの表面には大量の粘膜があり、このヌメリが臭みや劣化のもとになります。釣り場で海水やタワシで軽くこすってヌメリを落としておくと、帰宅後の調理もスムーズです。
また、持ち帰る際は氷をたっぷり詰めたクーラーボックスでしっかり冷やしながら保存しましょう。 私自身も釣行のたびにこの処理を徹底していますが、やるとやらないとでは味の差が明確に出るので、本当におすすめです。
サゴシを美味しく食べるためのおすすめの調理法4選
サワラは赤身寄りの青魚に近い性質を持つ一方で、サゴシは脂が少なく、淡白で水分量も多め。
そのため、基本的には白身魚を扱うような調理法と非常に相性が良いです。
釣れたての新鮮な個体であれば、手を加えることで「まずいどころか、むしろ美味しい」と感じる方も多いはず。
ここでは、私自身が実際に試して美味しかった、サゴシ向きの調理法を4つ厳選してご紹介します。
① 竜田揚げ
サゴシは身が淡白で脂のノリが少ない分、揚げ物との相性が抜群です。
特に竜田揚げにすることで、外はカリッと香ばしく、中はふわっと柔らかい食感に仕上がります。
私は釣れたその日の夕飯に、すぐ下処理して竜田揚げにすることが多いのですが、子どもも大好きな定番レシピです。
さらに、タルタルソースやレモンと合わせれば魚臭さもなくなり、驚くほど箸が進みます。
サワラでは脂が重くなりがちなところも、サゴシだと軽めに仕上がるのがメリットです。
② 西京焼き
「サワラといえば西京焼き」と言われるほど定番の調理法ですが、実はサゴシでも美味しく作れます。
脂の少ないサゴシに味噌のコクと甘みがしっかり染み込むため、淡白さを補いながら旨味がアップします。
私がよくやるのは、釣った当日に三枚おろしにして、ヌメリと血合いをしっかり落としたあとに西京味噌で漬け込み、翌日以降に焼く方法。
冷蔵・冷凍保存もしやすく、まとめて作っておくとお弁当や夕飯の一品にとても重宝します。
③ 炙り(焼き霜造り)
サワラの炙りは刺身で食べる定番ですが、サゴシでも丁寧な処理をすれば十分可能です。
皮目をバーナーでしっかり炙ることで、サゴシ特有の匂いが消え、香ばしさが加わって絶妙な仕上がりになります。
サワラとはまた違う味わいで、バクバク食べれちゃいますよ。酒飲みにはたまりません笑
私がよく添えるのはスダチ・カボス・レモンなどの柑橘類。
爽やかな酸味が淡白な身とマッチし、まるで料亭の一品のような味わいに。
もちろん、完全な刺身としてではなく、炙ってから軽くポン酢や柚子胡椒で食べても◎。
④ 塩麹焼き
釣りで大量にサゴシが釣れたときにおすすめなのが、塩麹に漬けて保存する調理法です。
塩麹は味付けと臭み取りの両方を兼ね備えているため、下処理がやや不安な方でも安心して使えます。
私はサゴシを3枚におろして皮を引いたあと、一口大に切って塩麹と和えてジップロックへ。
そのまま冷蔵で1〜2日、冷凍なら1ヶ月程度持つので、後日フライパンで焼くだけでしっかり味のついた一品が完成します。
夕飯のおかずにも、お酒のおつまみにもぴったりのレシピです。
まとめ|サゴシは処理と調理次第で美味しくなる!

「サゴシ=まずい」と思われがちな理由には、脂の少なさやヌメリ・臭みといった点が挙げられます。
しかし、これはあくまでも適切な処理や調理法を知らないまま食べてしまったケースが多いことが原因です。
実際に私自身、これまで100匹以上のサゴシ・サワラを釣って食べてきましたが、きちんと処理をして、相性の良い調理をすればサゴシも十分に「ごちそう」になります。
特に夏場に釣れる個体は脂が乗りづらいため、加熱向きの料理(揚げ物・焼き物)との相性が良く、サゴシの特性を活かしたレシピを選べば、サワラに引けを取らない美味しさも引き出せます。
また、釣り人の特権として「鮮度抜群の状態」で味わえるという点も大きな魅力のひとつ。スーパーで売られているものよりも圧倒的に美味しく、価値のある食材になります。
ぜひ次回サゴシが釣れた際は、「どうせまずいからリリース…」ではなく、ちょっと手をかけて食べてみることをおすすめします。
そのひと手間が、釣りの楽しさと料理の奥深さをさらに広げてくれるはずです。
「サゴシ」の成魚である「サワラ」について詳しく知りたい方はコチラの記事をご覧ください▼

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