こんにちは、つりはる編集長のはるです。
黒潮大蛇行が2025年4月に終息して、1年あまりが経ちました。「魚が戻ってくる」と期待した人も多いと思います。私もそのひとりでした。
ですが、実際に海で起きているのは、もっと複雑なことです。つりはるのメンバーはそれぞれ別の地方で釣りをしていますが、全員が口を揃えて「釣れる魚が変わってきた」と感じています。この記事では、私たちが実際に体験した変化と、公的データが示す全国の明暗を突き合わせて、終息後の海で釣り人がどう動くべきかを考えます。
前提のおさらい|黒潮大蛇行は「観測史上最長」だった
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大蛇行の期間 | 2017年8月〜2025年4月(7年9ヶ月=観測史上最長) |
| 終息の公式発表 | 気象庁・海上保安庁が2025年8月29日に発表 |
| 2026年8月現在 | 通常の接岸流路を維持(再蛇行の芽は監視中) |
つまり、いま海にいる魚の多くは「大蛇行しか知らない世代」です。7年9ヶ月というのは、魚の世代が何度も入れ替わる長さ——回遊パターンが「元に戻る」より「新しく組み変わる」と考えたほうが実態に近いです。
大蛇行そのものの仕組みと経緯は、こちらの記事で詳しく解説しています。

【実体験】三重のトンボマグロジギングに起きたこと
私たちが一番はっきり体感しているのが、三重県のトンボマグロ(ビンナガ)ジギングです。
ここ数年、確かに「流行って」いた
ここ最近の三重沖はトンボジギングがちょっとしたブームで、私もみきや(当サイトのアドバイザー・釣具店スタッフ)もよく通っていました。ジギングでマグロが狙える——関西・東海の釣り人にとって、遠征せずに届く夢の釣りでした。
終息後、釣れる量が減り、船が出なくなってきた
それが大蛇行の終息後、目に見えて釣れる量が減りました。そして釣果が安定しないと、遊漁船はその釣りものでは集客できません。いまでは、トンボ狙いでの出船そのものが減ってきています。
「釣れなくなる」の最終形は、「そもそも船が出なくなる」です。釣り人がその魚を狙う手段自体が消えていく——これが、海流の変化が釣りに与える影響の本当の怖さだと思います。
マグロは黒潮の影響を受ける代表格
マグロ類は暖かい潮の流れに沿って回遊する、黒潮の影響を最も強く受ける魚のひとつです。大蛇行で三重沖に生まれていた「トンボが寄る条件」が、通常流路に戻ったことで変わってしまった——と私たちは見ています。
大蛇行の7年9ヶ月に生まれた釣りは、大蛇行と一緒に終わることがある。トンボジギングは、その実例になりつつあります。
公的データでも「明暗」がはっきり出ている
私たちの体感は、報道されている各地の水揚げデータとも一致します。「終息=魚が戻る」ではなく、良くなった魚と悪くなった魚に分かれています。
| 変化 | 実例(2025〜2026年の報道より) |
|---|---|
| 悪化 | 高知のカツオ水揚げ(2025年通年)が前年比4割減。大蛇行中はむしろ土佐湾に滞留して大蛇行前の約2倍だった |
| 悪化 | 和歌山沖のカツオは最盛期の約1/10。徳島方面へ遠征する船も |
| 好転 | 駿河湾のシラスが2026年解禁初日に前年の7倍(ただし最盛期の1/3で「手放しでは喜べない」との声も) |
| 好転 | 高知の初ガツオ(2026年2〜5月)は前年同期比2倍超。黒潮接岸で水温好転 |
| 好転 | サンマ(2025年)は豊漁。店頭価格が前年の約半分に |
高知のカツオが象徴的です。「大蛇行が終わって釣れなくなった」のではなく「大蛇行中が特需だった」——県水産試験場も「大蛇行前の取れ方に戻った」と分析しています。三重のトンボも、おそらく同じ構図です。
なぜ黒潮が変わると釣れる魚が変わるのか
- 水温が変わる|黒潮は「暖かい水の帯」。流路がズレると沿岸の水温分布が丸ごと変わる
- ベイトの分布が変わる|プランクトン→小魚→フィッシュイーターの連鎖が組み変わる
- 回遊ルートが変わる|マグロ・カツオ・青物は潮の壁や蛇行の内側に沿って動く
大蛇行中は、この3つが「いつもと違う場所」に生まれていました。私の地元でも、大蛇行期間中の2021年頃から、それまで青物なんて夢だった近所の堤防でブリやサワラが釣れるようになりました。あれも大蛇行がくれた「特需」だったのかもしれません——そしてトンボと同じように、いつか返すものなのかもしれません。
終息後の数年、釣り人はどう動くべきか
① 「去年の記憶」を疑う
いまの海は、7年9ヶ月ぶりの流路を流れています。「去年ここでこの時期に釣れた」という記憶の賞味期限が、いつになく短い時期です。過去の実績より、直近の釣果情報と海水温を優先してください。
② 出船状況・釣果情報を「変化のセンサー」にする
遊漁船の出船対象は、海の変化を最速で映す鏡です。「あの船、最近あの釣りで出てないな」は、海が変わったサイン——トンボジギングで私たちが目の当たりにした通りです。
③ 変化は「終わり」だけでなく「始まり」でもある
大蛇行が三重のトンボや近所のブリをくれたように、通常流路に戻った海は、別のどこかに新しい釣りを生みます。
シラスが戻り始めた駿河湾のように、ベイトが戻る場所には魚が戻ります。「釣れなくなった」と嘆くより、「次はどこで何が始まるか」を探すほうが、釣り人としては楽しいはずです。私たちも各地の変化を追いかけて、気づいたことはこのサイトで共有していきます。
よくある質問
Q. 黒潮大蛇行はまた起きますか?
可能性はあります。研究機関は九州東方の小さな蛇行を監視しており、「風の条件次第では再び大蛇行が起きやすい状態が続く」という専門家の見解もあります。当面は再蛇行なしとの予測が主流ですが、断定はできません。
Q. 魚は結局、いつ「元通り」になりますか?
「元通り」という考え方自体を手放すのがおすすめです。7年9ヶ月は魚の世代が入れ替わる長さで、温暖化の進行もあり、海はどのみち「大蛇行前」には戻りません。新しい海に釣りを合わせていく——これが現実的な答えだと思います。
Q. 釣りに行く前に何を確認すればいいですか?
①直近1〜2週の釣果情報 ②海水温 ③遊漁船の出船状況の3つです。過去の「この時期の定番」が通用しにくい時期なので、鮮度の高い情報ほど価値があります。
まとめ|大蛇行が終わって、海は「新しく」なった
- 黒潮大蛇行は2025年4月に終息(7年9ヶ月=観測史上最長)
- 三重のトンボジギングは終息後に釣果が減り、出船自体が減少(メンバーの実体験)
- 公的データでもカツオ4割減とシラス回復など明暗が併存
- 「終息=元通り」ではない。大蛇行中の釣れ方こそ特需だった魚もいる
- 去年の記憶より今年の情報。変化の先の「新しい釣り」を探す
潮と釣りの基本から組み立て直したい方は、潮回りの総合ガイドもどうぞ。



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