こんにちは、現役釣具屋店員のみきやです。ロッド売り場で、番手の数字を見て固まっているお客さんをよく見かけます。
「76と86、どっちがいいんですか?」
先に結論を書きます。迷ったら7.6ft(76)です。これを選んでおけば万能で、間違いありません。メーカーの標準的なラインナップも7.6ftあたりに集まっています。
そのうえで正直に書いておくと、私自身が一番使っているのは7.1ft(71)です。繊細なチニングをすることが多く、小場所に入ることが多いからですね。逆に、オープンエリアでは8フィート台も使います。
つまり長さは「釣り場で決まる」ということです。この記事では、長さ別に何が変わるのか、自分はどれを選ぶべきかを、実測データを並べながら解説します。
ロッド全体の選び方は、こちらでまとめています。

先に|番手の数字の読み方(76・710・810は全部違う)
長さの話に入る前に、番手の数字が読めないと選びようがないので、ここだけ整理します。
チニングロッドの型番にある数字は、フィートとインチをそのまま並べたものです。1フィート=12インチなので、10進数ではありません。ここが混乱の元です。
| 表記 | 読み方 | メートル換算 |
|---|---|---|
| 71 | 7フィート1インチ | 約2.16m |
| 76 | 7フィート6インチ | 約2.29m |
| 710 | 7フィート10インチ | 約2.39m |
| 80 | 8フィート0インチ | 約2.44m |
| 810 | 8フィート10インチ | 約2.69m |
| 86 | 8フィート6インチ | 約2.59m |
間違えやすいのが「71」と「710」です。71は7フィート1インチ、710は7フィート10インチ。その差は約23cmあり、性格はまったく別物になります。
「71だと思って買ったら710だった」という取り違えは実際に起きます。数字が3桁なら、最後の1桁ではなく最後の2桁がインチだと覚えてください。
同じく「80」と「810」も別物です。80は8フィートちょうど、810は8フィート10インチで、差は25cm以上あります。
チニングロッドの長さ|結論の早見表
長さごとの性格を先に並べます。
| 長さ | 性格 | こんな人 | 自重の傾向 |
|---|---|---|---|
| 7.0〜7.2ft | 取り回し重視 | 小場所・足元・繊細な釣り | 軽い(90g台〜) |
| 7.4〜7.8ft | バランス型 | 迷ったらここ。店頭で一番勧めている | 軽い〜標準 |
| 8.0〜8.6ft | 遠投寄り | オープンエリア・広い河口やサーフ | 重くなる |
| 8.6ft以上 | 遠投特化 | とにかく飛距離が欲しい | 重い(110g台) |
7.4〜7.8ftが真ん中で、そこから前後に振るという考え方です。最初の1本なら、この帯から出る必要はありません。
なぜ7.6ftが基準になっているのか
理由は単純で、メーカーの標準がここに集まっているからです。
チニングロッドのラインナップを見ていくと、各社とも7.6ft前後を主力に置いています。ダイワもシマノも、看板になる番手は76が多い。つまりメーカーが「これが標準」と考えている長さということです。
実際、店頭でお客さんに勧めるときも7フィート台中盤を基本にしています。足元も撃てて、そこそこ飛んで、一日振っても疲れない。どれも80点という長さです。
7ft台前半|私が一番使っている長さ
私自身のメインは7.1ftです。理由は繊細なチニングをすることが多く、小場所に入ることが多いから。
短いロッドで変わること
- 操作が正確になる。ワームを置きたい場所に置ける
- 足元・壁際を撃ちやすい。長いと手前が窮屈になる
- キャストの精度が上がる。狭い場所でも振れる
- 穂先の動きが手元に近い。小さなアタリを感じ取りやすい
チニングは足元から数メートルで食ってくることが珍しくない釣りです。特に夜は、驚くほど近くまでチヌが寄ってきます。そういう距離を丁寧に撃つなら、短いほうが圧倒的にやりやすい。
小場所では長さがそのまま邪魔になる
狭い漁港の隅、テトラの間、護岸の切れ目。こういう場所ではロッドを振るスペース自体がありません。8ft台だと、背後の障害物に当たってまともにキャストできないことがあります。
釣り場が狭いなら、長さは短所にしかなりません。飛距離が要らない場所で長いロッドを使う理由は、ひとつもありません。
ただし初心者にはあまり勧めていない
私は7.1ftを使っていますが、お客さんに最初の1本として勧めることは少ないです。
理由は釣り場を選ぶからです。広い河口やサーフに行ったとき、短いロッドだと届かない場所が出てきます。1本目は、どこに行っても成立する長さのほうが安全です。
2本目として、あるいは自分の釣り場がはっきりしてから短いロッドに手を出すのが順番だと思います。
7ft台前半の1本
私が使っているのはこれです。7.1ftのソリッドティップ。
価格が上がるので、まず短いロッドを試したいなら7.2ftの選択肢もあります。
7ft台中盤|迷ったらここ
店頭で一番勧めているのがこの帯です。7.4〜7.8ft、中でも7.6ftが中心になります。
何が「万能」なのか
| 場面 | 7.6ftで足りるか |
|---|---|
| 足元・壁際を撃つ | ○ 十分いける |
| 沖のブレイクまで投げる | ○ 届く |
| 狭い漁港 | ○ 振れる |
| 広い河口・サーフ | △ もう少し欲しい場面はある |
| 一日中ズル引く | ○ 疲れにくい |
どの場面でも「致命的に困らない」のが7.6ftの強みです。尖った性能はありませんが、釣り場を選ばずに使えるというのは、1本目にとって一番大きい価値です。
初めての1本は、ここから外さないほうがいい
釣り場が決まっていないうちは、汎用性がすべてです。友人に誘われて広い河口に行くかもしれないし、近所の漁港で足元を撃つかもしれない。その両方に対応できるのが7.6ftです。
迷ったら76。これで間違いありません。
7ft台中盤の選択肢
価格帯別に3本挙げておきます。
それぞれの詳しい比較は、ロッド記事にまとめています。

8ft台|オープンエリアで使う
私もオープンエリアでは8フィート台を使います。広い河口、サーフ、大きな漁港。沖のブレイクまで届かせたい場面では、長さがそのまま武器になります。
長いロッドで変わること
- 飛距離が伸びる。同じ力でも遠くへ届く
- ラインを高く保てる。手前の障害物をかわしやすい
- 大きくアクションできる。広い範囲を一度に探れる
特にラインを高く保てるのは見落とされがちな利点です。手前に馬の背やテトラがあるとき、長いロッドだとラインを浮かせて越えられます。
代わりに失うもの
いいことばかりではありません。
- 重くなる。一日中ズル引くと確実に効いてくる
- 足元が撃ちにくい。手前の釣りが雑になる
- 狭い場所で振れない
長さは飛距離と引き換えに、取り回しと軽さを差し出しています。「長ければ良い」ではありません。
8ft台が本当に効く場面
漠然と「飛ぶから」ではなく、長さが必要になる具体的な状況を挙げます。
| 状況 | なぜ長さが要るか |
|---|---|
| 沖のブレイクが遠い | 届かなければ勝負にならない |
| 手前が浅く、魚が沖にいる | 干潟や遠浅のサーフ |
| 手前に馬の背・テトラがある | ラインを高く保って越えたい |
| 足場が低く、水面が近い | 長いほうがラインを浮かせられる |
逆に、この条件に当てはまらないなら8ft台は要りません。「あったほうが安心」で選ぶと、普段の釣りで重さと取り回しの悪さだけが残ります。
8ft台の1本
遠投に振るなら、この長さです。8.4ftで国産カーボン100%。
7.7〜7.8ftという「ちょっとだけ長い」選択肢もあります。8ft台ほど重くならず、7.6ftより少し飛ばしたいという場合はここです。
長さと自重の実測データ
「長いと重くなる」を、実際の数字で確かめます。同じシリーズの中で長さだけが違うモデルを並べました。
| 長さ | 自重 | 差 |
|---|---|---|
| 7.2ft(2.18m) | 90g | — |
| 7.4ft(2.24m) | 100g | +10g |
| 7.6ft(2.29m) | 96g | +6g |
| 8.10ft(2.69m) | 112g | +22g |
※ シマノ 25ブレニアスXR の各番手(メーカー公表値)
7ft台では90〜100gに収まっているのに、8ft台後半で112gまで跳ね上がります。22gの差は数字で見ると小さく感じますが、チニングは一日中ロッドを振り続ける釣りです。夕方には確実に腕にきます。
他メーカーでも同じ傾向
| ロッド | 長さ | 自重 |
|---|---|---|
| ダイワ シルバーウルフ 76ML-S・W | 7.6ft | 93g |
| シマノ 20ブレニアスBB S78L | 7.8ft | 97g |
| シマノ 20ブレニアスBB S80L-S | 8.0ft | 102g |
| アブガルシア XKRS-772L+ | 7.7ft | 107g |
| アブガルシア XKRS-842ML | 8.4ft | 113g |
8ft台に入ると110g前後になるという傾向は、メーカーを問わず共通です。軽さを取るなら7ft台、飛距離を取るなら8ft台。ここは物理的に両立しません。
よくある誤解|「長い=飛ぶ」ではない
長さで一番誤解されているのがここです。
飛距離を一番左右するのは、ロッドの長さではなくシンカーの重さです。
チニングで使うシンカーは5〜10g。7gを10gに変えるだけで、体感できるほど飛距離が変わります。ロッドを0.5ft伸ばすより、シンカーを3g重くするほうが確実に飛びます。
「飛ばないから長いロッドに買い替えよう」と考える前に、シンカーを見直してください。1万円以上使う前に、数百円で解決するかもしれません。
シンカーの重さの決め方は、こちらでまとめています。

長さより効くのは「投げ方」
店頭で「飛距離が出ない」と相談されたとき、私が確認するのはこの順番です。
- 1. シンカーは何グラムか(軽すぎないか)
- 2. ラインは何号か(太すぎないか)
- 3. 垂らしは取っているか(短すぎるとロッドが曲がらない)
- 4. ロッドの長さ
長さは4番目です。先に見直すべきところが3つあります。
ラインの太さについては、こちらで詳しく書いています。

「76と86、どっちを買うべき?」に答える
実際によく聞かれる比較に、はっきり答えておきます。
76 vs 86|基本は76
| 76(7.6ft) | 86(8.6ft) | |
|---|---|---|
| 飛距離 | ○ | ◎ |
| 足元・壁際 | ◎ | △ |
| 取り回し | ◎ | △ |
| 軽さ | ◎ | △ |
| 釣り場を選ぶか | 選ばない | 広い場所向き |
1本目なら76です。チニングで大遠投が必要な場面は、思っているほど多くありません。むしろ足元やブレイクの際といった近距離が効く釣りなので、86の飛距離を活かしきれないことのほうが多いです。
86を選ぶのは、行く場所が広いと分かっているときだけ。「とりあえず飛んだほうがいいだろう」で選ぶと、手前が撃ちにくくて後悔します。
71 vs 76|釣り場が決まってから71へ
1本目は76、2本目に71という順番を勧めています。
71は操作性と感度で明確に上ですが、広い場所に行ったときに届かないという弱点があります。自分の釣り場が定まって、「自分は近距離を丁寧に撃つ釣りが好きだ」と分かってから選ぶほうが失敗しません。
私が71をメインにしているのも、自分の通う場所と釣り方がはっきりしているからです。
パックロッド(3〜4本継)という選択肢
持ち運びを優先するなら、継数の多いモデルもあります。通常のチニングロッドは2本継ですが、3〜4本継なら仕舞寸法が90cm前後まで縮みます。
| ロッド | 全長 | 継数 | 仕舞寸法 |
|---|---|---|---|
| 一般的な7.6ft | 2.29m | 2本 | 118cm |
| 一般的な7.2ft | 2.18m | 2本 | 112cm |
| 8.10ftの3本継 | 2.69m | 3本 | 95.5cm |
8.10ftなのに、7.2ftの2本継より短く収まります。全長と仕舞寸法は別の話だということです。
電車移動する人、自転車で釣り場に行く人、車のトランクに常備しておきたい人には現実的な選択です。
継数が増えると継ぎ目が増えるぶん多少は感度が落ちますが、「持ち運べないから行かない」よりはるかにマシです。釣行回数が増えるほうが、結果的に釣果は伸びます。
釣り方で変わる長さの選び方
同じチニングでも、やることによって欲しい長さは変わります。
ボトムのズル引き|7.6ftで足りる
チニングの基本形です。底を感じ続ける釣りなので、感度と操作性のバランスが要ります。7.6ft前後なら、遠投もある程度こなしつつ手元の情報も残ります。
長すぎると穂先の動きが手元に伝わりにくくなり、石なのかカキ殻なのかの判断が鈍ります。
ボトムバンプ・壁際撃ち|短いほうが有利
跳ねさせて落とす、壁際を撃つ。ロッドを細かく操作する釣り方は、短いほうが正確です。
7.0〜7.4ftあたりが扱いやすくなります。私が7.1ftを選んでいるのも、この釣り方が中心だからです。
トップウォーター|やや長めが投げやすい
水面でポッパーを操作する釣りです。軽いルアーを飛ばす必要があるので、7.6〜8ft台が扱いやすいです。
トップはロッドを下に向けて操作するので、短すぎると水面までの距離が近くなりすぎて動かしにくくなります。
バイブレーションの速巻き|張りのある長さを
巻き速度の限界で引く釣りです。7.6ft前後で、しっかり張りのあるモデルが向きます。短すぎると飛距離が出ず、広範囲を探る釣り方の利点が消えます。
ルアーごとの使い分けは、仕掛けの記事にまとめています。

釣り場別|どの長さを選ぶか
| 釣り場 | おすすめの長さ | 理由 |
|---|---|---|
| 漁港・堤防 | 7.2〜7.6ft | 足元と壁際が効く。振るスペースも限られる |
| 小規模な河口 | 7.2〜7.6ft | 対岸まで届く。取り回し優先 |
| 広い河口 | 7.6〜8.4ft | 沖のブレイクまで届かせたい |
| サーフ | 8.0〜8.6ft | 遠投が必要。足場も高くない |
| テトラ帯 | 7.0〜7.4ft | 足場が悪く、振るスペースが無い |
| ボート | 6.6〜7.2ft | 短いほうが取り回しやすい |
自分が一番よく行く場所で選んでください。たまにしか行かない釣り場に合わせると、普段の釣りが不便になります。
チニングロッドの長さについてよくある質問
チニングロッドの長さは何フィートがいいですか?
迷ったら7.6ft(76)です。メーカーの標準的なラインナップもここに集まっており、足元も沖もこなせる万能な長さです。小場所や繊細な釣りが中心なら7.1〜7.2ft、広い河口やサーフなら8ft台へ振ってください。
76と86ならどちらを買うべきですか?
1本目なら76です。チニングは足元やブレイクの際といった近距離が効く釣りなので、86の飛距離を活かしきれない場面のほうが多くなります。86を選ぶのは、行く場所が広いと分かっているときだけにしてください。
長いロッドのほうが飛びますか?
多少は伸びますが、飛距離を一番左右するのはシンカーの重さです。7gを10gに変えるだけで体感できるほど変わります。「飛ばないから長いロッドへ」と考える前に、シンカーとライン、そして垂らしの長さを見直してください。
短いロッドのメリットは何ですか?
操作性と軽さ、そして足元の撃ちやすさです。ワームを置きたい場所に置けるようになり、狭い場所でも振れます。自重も軽くなります。ただし広い釣り場では届かない場面が出るので、釣り場が定まってから選ぶほうが失敗しません。
8フィート以上は必要ですか?
広い河口やサーフに通うなら選択肢になります。ただし8ft台に入ると自重が110g前後まで増え、一日中ズル引く釣りでは疲れが変わってきます。近所の漁港や小規模な河口がメインなら、必要ありません。
持ち運びやすいロッドはありますか?
3〜4本継のモデルを選ぶと仕舞寸法が90cm前後まで縮みます。8.10ftで3本継のモデルは仕舞95.5cmで、2本継の7.6ft(仕舞118cm)より短く収まります。感度は多少落ちますが、電車移動や車に常備したい人には現実的です。
身長によって選ぶ長さは変わりますか?
そこまで気にしなくて大丈夫です。チニングロッドの長さの差は最大でも1.5ft程度で、身長よりも釣り場の広さと足場の状況のほうが影響します。ただし極端に短い方は、8.6ft以上だと振り抜きにくく感じることがあります。
まとめ|迷ったら7.6ft、釣り場が決まってから振る
- 迷ったら7.6ft(76)。メーカー標準もここで、万能
- 7.0〜7.2ft… 小場所・足元・繊細な釣り。私のメインもここ
- 8.0〜8.6ft… オープンエリア・遠投。ただし重くなる
- 8ft台に入ると自重が110g前後まで増える(実測)
- 長い=飛ぶ、ではない。飛距離はシンカーの重さで決まる
- 76と86で迷ったら1本目は76
- 短いロッドは釣り場が定まってから2本目に
長さ選びで一番よくある失敗は、「とりあえず長いほうが飛ぶだろう」で8ft台を買ってしまうことです。手前が撃ちにくくて、結局使わなくなる。
自分が一番よく行く釣り場を思い浮かべて選んでください。それが決まっていないなら、76を選んでおけば外しません。
硬さの選び方(LとMLの違い)は、こちらでまとめています。

価格帯を含めたロッド全体の選び方は、こちらです。

チニングの全体像——釣れる場所の見つけ方から道具の揃え方までは、こちらにまとめています。



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