こんにちは、現役釣具屋店員のみきやです。ロッドの長さが決まったあと、次に詰まるのが硬さの表記です。
「LとML、どっちを買えばいいんですか?」
結論から書きます。MLを選んでください。私も基本はMLを使っています。そして店頭でお客さんに勧めるのも、ほぼMLです。
理由は感覚の話ではありません。Lだと、チニングの標準的なリグ重量が適合範囲を超えてしまうからです。これはメーカーの公表スペックを並べると、はっきり数字で出ます。
この記事では、LとMLで何がどれだけ違うのかを実測データで示したうえで、「Lが効く場面はあるのか」「Mは要るのか」まで解説します。
ロッド全体の選び方は、こちらでまとめています。

先に|硬さの表記の読み方
ロッドの硬さはパワーと呼ばれ、アルファベットで表されます。柔らかいほうから並べると、こうなります。
| 表記 | 読み方 | チニングでの位置づけ |
|---|---|---|
| UL | ウルトラライト | 柔らかすぎる。使わない |
| L | ライト | 軽いリグ専用。上限に注意 |
| ML | ミディアムライト | これが基準。迷ったらML |
| M | ミディアム | 硬め。大型狙い・磯場 |
| MH | ミディアムヘビー | チニングには硬すぎる |
型番では長さの数字の後ろに付きます。「76ML」なら7フィート6インチのML、「78L」なら7フィート8インチのLです。
なお「LML」という中間表記もあります。LとMLの間という意味で、上位機種に見られます。実は私のメインロッドもこのLMLです。理由は後で説明します。
長さの数字の読み方は、こちらで整理しています。

結論|MLを選ぶ理由はスペックに出ている
なぜMLなのか。適合ルアー重量を並べると答えが出ます。
Lクラスの適合ルアー重量
| ロッド | パワー | 適合ルアー |
|---|---|---|
| シマノ 20ブレニアスBB S80L-S | L | 2〜10g |
| メジャークラフト クロステージ黒鯛 CRX-T782L | L | 2〜10g |
| シマノ 20ブレニアスBB S78L | L | 2〜12g |
| シマノ 25ブレニアスXR S72L | L | 2〜14g |
| アブガルシア XKRS-772L+ | L+ | 2〜15g |
MLクラスの適合ルアー重量
| ロッド | パワー | 適合ルアー |
|---|---|---|
| シマノ 25ブレニアスXR B74ML-S | ML | 3〜18g |
| シマノ 26ブレニアスBB S76ML | ML | 4〜18g |
| ダイワ シルバーウルフ 76ML-S・W | ML | 4〜18g |
| アブガルシア XKRS-842ML | ML | 3〜21g |
| ダイワ ルアーニスト 76ML | ML | 5〜25g |
※ いずれもメーカー公表値
★チニングの標準リグは13.4g|Lでは超える機種がある
ここが結論の根拠です。チニングの基本形を計算します。
| 内訳 | 重さ |
|---|---|
| シンカー(基準) | 10g |
| ワーム(クレイジーフラッパー2.8インチ) | 3.4g |
| 合計 | 13.4g |
※ ワームの重量はケイテックの公表値
この13.4gを、さきほどの表に当てはめてください。
| パワー | 上限 | 13.4gは? |
|---|---|---|
| L(2〜10g) | 10g | × 大幅に超過 |
| L(2〜12g) | 12g | × 超過 |
| L(2〜14g) | 14g | △ ギリギリ |
| L+(2〜15g) | 15g | ○ 収まる |
| ML(3〜18g) | 18g | ◎ 余裕がある |
| ML(3〜21g) | 21g | ◎ かなり余裕 |
Lだと、機種によっては標準的なリグで既に上限を超えます。これがMLを勧める一番の理由です。
しかも上限ギリギリで使い続けると、キャスト時にロッドに無理な負荷がかかります。折れるリスクもありますし、そもそもロッドが本来の性能を出せません。
シンカーの重さの考え方は、こちらで詳しく書いています。

Lを避けたほうがいい3つの理由
①標準リグで上限に当たる
上で見たとおりです。シンカー10g+ワームで13.4gになるのに、Lの上限は10〜15g。余裕がない状態で釣ることになります。
さらに、状況によってはシンカーを14gまで上げたい場面もあります。そのときLでは対応できません。
②適合ラインが細い側に寄っている
見落とされがちなのがこれです。Lクラスは適合PEも細い側に設定されています。
| ロッド | パワー | 適合PE |
|---|---|---|
| シマノ 20ブレニアスBB S78L / S80L-S | L | 0.3〜0.8号 |
| メジャークラフト CRX-T782L | L | 0.4〜0.8号 |
| シマノ 26ブレニアスBB S76ML | ML | 0.6〜1.5号 |
| シマノ 25ブレニアスXR B72ML | ML | 0.6〜1.5号 |
| ダイワ シルバーウルフ 76ML-S・W | ML | 0.4〜1.0号 |
私は普段PE0.6号を使い、お客さんには0.8号を勧めています。Lクラスだと0.8号が上限ギリギリになります。
MLなら0.6号も0.8号も余裕で範囲内。さらに大型狙いで1.0号に上げたくなっても対応できます。ラインの太さで選択肢が狭まるのは、もったいない。
ラインの号数の決め方は、こちらでまとめています。

③掛けたあとに寄せきれない
チヌは体高があって横に走る力が強い魚です。しかも釣り場にはテトラ・カキ瀬・杭といった障害物が普通にあります。
掛けた瞬間に障害物へ突っ込まれたとき、強引に引き剥がす必要があります。Lだとロッドが曲がりきってしまい、主導権を取れないまま持っていかれることがあります。
穂先は柔らかく、根元は強い。これがチニングロッドの理想形で、MLはそのバランスに設計されています。
では、Lが効く場面はあるのか
あります。ただし条件がはっきりしています。
| 場面 | Lが効く理由 |
|---|---|
| 浅場で軽いシンカーを使う | 5〜7gが主軸ならLの範囲に収まる |
| 食い渋りでフィネスに寄せる | 軽いリグをゆっくり見せたい |
| 小型が多い時期 | 秋など。柔らかいほうが乗りが良い |
| 障害物が少ない砂地 | 強引に寄せる必要がない |
つまり「軽いリグ専用機」として割り切るなら成立します。1本目に選ぶものではなく、2本目として持つ性格のロッドです。
実際、私のメインロッドはLMLというLとMLの中間パワーです。繊細な釣りが中心なので、MLよりわずかに柔らかい設定を選んでいます。
ただしこれは自分の釣り方がはっきりしてからの選択です。最初からここを狙う必要はありません。
軽いリグ主軸なら、この2本
Lクラスを選ぶなら、上限を確認してから買ってください。
Mは必要か|基本は要らない
結論から言うと、岸からのチニングでMは要りません。
Mクラスは適合ルアーが5〜21g以上になるものが多く、シンカー10gが軽すぎてロッドが曲がりません。曲がらないロッドは、アタリを弾きますし、飛距離も出ません。
Mを選ぶ数少ない場面
- 磯場でハタなども混じる。強引に抜き上げる必要がある
- 常に14g以上を使う。深場や激流
- 大型のプラグを投げる。トップやバイブが主軸で重い
どれも「チニング以外も兼ねる」場合です。チニング専用として買うなら、Mは選択肢に入りません。
硬さとティップの組み合わせ
硬さと同時に見るべきなのがティップ(穂先)です。同じMLでも、ティップの種類で性格が変わります。
| 組み合わせ | 性格 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ML+ソリッド(-S) | 穂先は柔らかく根元は強い | 迷ったらこれ。アタリを弾かない |
| ML+チューブラー | 全体に張りがある | 積極的に動かす人・大型狙い |
| L+ソリッド | 全体に柔らかい | 軽いリグでフィネスに |
| L+チューブラー | 中間 | 操作性を残しつつ軽いリグを使う |
型番の末尾に「-S」が付いていればソリッドです。「76ML-S」ならML+ソリッド、「76ML」ならML+チューブラー。
私が勧めるのはML+ソリッドです。チヌのアタリは「コツ」という小さな違和感から始まるので、穂先が柔らかいほうが弾きにくい。そのうえで根元がMLの強さを持っているので、掛けたあとも安心です。
「76Lと76ML、どっちを買うべき?」に答える
長さが同じで硬さだけ違う場合、どう選ぶか。よく聞かれる比較です。
| 76L | 76ML | |
|---|---|---|
| 適合ルアー | 2〜10〜14g | 4〜18g |
| シンカー10g+ワーム(13.4g) | △〜× | ◎ |
| 適合PE | 0.3〜0.8号が多い | 0.6〜1.5号 |
| アタリの乗り | ◎ 柔らかい | ○ |
| 寄せる力 | △ | ◎ |
| 1本目におすすめ | — | ◎ こちら |
1本目なら迷わず76MLです。Lの「柔らかくて乗りが良い」という利点は、ソリッドティップで代替できます。つまり76ML-S(MLのソリッド)を選べば、両方取れるということです。
Lを選ぶのは、軽いシンカーを主軸にすると決めている場合だけにしてください。
ML+ソリッドの具体的な選択肢
価格帯別に挙げておきます。
それぞれの詳しい比較は、ロッド記事にまとめています。

★注意|同じML表記でも中身は全然違う
ここが一番の落とし穴です。「MLを買えばいい」と覚えて店に行くと、失敗することがあります。
なぜなら同じML表記でも、適合ルアー重量がまったく違うからです。
| ロッド | 表記 | 適合ルアー | 上限の差 |
|---|---|---|---|
| シマノ 25ブレニアスXR B74ML-S | ML | 3〜18g | — |
| シマノ 26ブレニアスBB S76ML | ML | 4〜18g | 同じ |
| ダイワ シルバーウルフ 76ML-S・W | ML | 4〜18g | 同じ |
| アブガルシア XKRS-842ML | ML | 3〜21g | +3g |
| ダイワ ルアーニスト 76ML | ML | 5〜25g | +7g |
| シマノ ルアーマチック S76ML | ML | 6〜32g | +14g |
上限が18gのMLと、32gのMLがあります。その差は14g。これはもう別のロッドです。
なぜこんなに違うのか
理由はそのロッドが何用に作られているかです。
上限18gのモデルはチニング専用機です。シンカー5〜14gを想定して設計されています。
一方、上限32gのモデルは汎用ロッドです。エギングやシーバス、ロックフィッシュも想定しているので、重いルアーまでカバーする設計になっています。
汎用ロッドが悪いわけではありません。ただしシンカー10gだと想定の下寄りになるので、ロッドが十分に曲がらず、本来の性能を出しきれない可能性があります。
見るべきは表記ではなくスペック表
店頭やネットで確認するときは、ML/Lという表記ではなく「適合ルアー重量」を見てください。
- 自分が使うシンカーの重さが、範囲の真ん中あたりに来るか
- シンカー+ワームの合計(約13.4g)が上限の7割程度に収まるか
- 上限ギリギリになっていないか
たとえば4〜18gのロッドなら、13.4gは上限の74%。適正な範囲です。2〜12gのロッドだと13.4gは上限超過。ここが判断基準になります。
硬さとセットで見る「調子(テーパー)」
硬さを決めたら、もう1つ見ておくとよいのが調子です。ロッドがどこから曲がるかを表します。
| 調子 | 曲がる位置 | チニングでの位置づけ |
|---|---|---|
| ファストテーパー | 穂先寄り | チニングの主流。操作性と感度が出る |
| レギュラーテーパー | 中間から | 汎用。バランス型 |
| スローテーパー | 根元寄り(胴から) | シーバスロッドに多い。チニングには不向き |
チニングロッドはファストテーパーが主流です。穂先寄りで曲がるので、ボトムの変化が手元に伝わりやすく、ワームの操作も正確になります。
シーバスロッドで代用しづらい本当の理由
「シーバスロッドで代用できるか」とよく聞かれますが、長さや硬さ以上に調子が違うのが大きいです。
シーバスロッドはスローテーパーが多いため、胴から曲がります。ルアーを遠くへ飛ばすには向いていますが、ボトムの感知力はチニングロッドに明確に劣ります。
石なのかカキ殻なのか、砂地なのか。この判断ができるかどうかが、チニングでは釣果に直結します。だから長さと硬さが合っていても、「別物だ」と感じる人が多いわけです。
手持ちロッドで代用できるかは、こちらで判定表にしています。

釣り方で変わる硬さの選び方
| 釣り方 | 向く硬さ | 理由 |
|---|---|---|
| ボトムのズル引き | ML+ソリッド | 基本形。感度とパワーのバランス |
| ボトムバンプ | ML(チューブラー寄り) | 跳ねさせるので張りが要る |
| トップウォーター | ML | 軽いプラグを飛ばす。張りがあると動かしやすい |
| バイブレーションの速巻き | ML〜M | 巻き抵抗に負けない張りが必要 |
| 軽量シンカーでフィネス | L | 5〜7g主軸なら範囲に収まる |
ほとんどの釣り方がMLで成立します。MLを1本持っていれば、やりたい釣り方が増えても対応できるというのが、この硬さを勧める最大の理由です。
適合を超えて使うと何が起きるか
「上限を少し超えても大丈夫でしょ」と思われがちですが、実際には3つのことが起きます。
- ①キャストが決まらない。ロッドが曲がりすぎて力が逃げる
- ②飛距離が落ちる。反発力を使えないので前に飛ばない
- ③折れるリスクが上がる。特にキャスト時の初速で負荷が集中する
一番怖いのは③です。ロッドが折れるのはたいていキャストの瞬間で、適合を超えた重さを繰り返し投げていると、確実に寿命が縮みます。
店頭でも折れたロッドの相談を受けますが、話を聞くと適合オーバーで使い続けていたケースが目立ちます。数千円のシンカーの選択で、数万円のロッドを守れます。
チニングロッドの硬さについてよくある質問
チニングロッドの硬さはどれを選べばいいですか?
MLです。チニングの標準リグはシンカー10g+ワームで約13.4gになりますが、Lクラスは適合ルアーの上限が10〜15gで、機種によっては既に超えてしまいます。MLなら3〜21gあたりが一般的で、余裕を持って使えます。
Lではダメなんですか?
「軽いシンカー専用機」として割り切るなら成立します。5〜7gを主軸にする浅場の釣りや、食い渋りのフィネスには向いています。ただし適合PEも0.3〜0.8号など細い側に寄っているため、0.8号を使うと上限ギリギリになります。1本目には向きません。
Mは必要ですか?
岸からのチニングなら要りません。Mクラスは適合ルアーが5〜21g以上と重い設定で、シンカー10gではロッドが曲がらず、アタリを弾いて飛距離も出ません。磯場でハタも狙う、常に14g以上を使う、といった場合だけ検討してください。
LMLという表記は何ですか?
LとMLの中間のパワーを意味します。上位機種に見られる表記です。MLよりわずかに柔らかく、繊細な釣りに向きます。私のメインロッドもこのLMLですが、自分の釣り方が決まってからの選択で、最初から狙う必要はありません。
同じMLならメーカーによる違いはありませんか?
あります。同じML表記でも、適合ルアーが4〜18gの機種と5〜25gの機種があります。表記より、パッケージやスペック表の「適合ルアー重量」を見てください。自分が使うシンカーの重さが、その範囲の真ん中あたりに来るものが理想です。
硬さとソリッドティップ、どちらを優先すべきですか?
まず硬さでMLを決めて、そのうえでソリッドを選ぶのが順番です。「ML+ソリッド(型番が76ML-Sなど)」なら、穂先は柔らかくアタリを弾かず、根元はMLの強さで寄せられます。この組み合わせが一番失敗しません。
調子(テーパー)はどれを選べばいいですか?
ファストテーパーです。穂先寄りで曲がるので、ボトムの変化が手元に伝わりやすく、ワームの操作も正確になります。チニングロッドの主流もここです。シーバスロッドで代用しづらいのは、スローテーパーが多くボトム感知力が劣るからです。
適合ルアー重量を超えて使うとどうなりますか?
キャストが決まらず、飛距離が落ち、折れるリスクが上がります。ロッドが折れるのはたいていキャストの瞬間で、適合を超えた重さを投げ続けると確実に寿命が縮みます。数百円のシンカーの選択で、数万円のロッドを守れます。
柔らかいロッドのほうがバレにくいですか?
その傾向はあります。柔らかいロッドは魚の突っ込みを吸収するので、口切れによるバラシは減ります。ただしチニングは障害物周りで強引に寄せる場面が多いので、柔らかすぎると別のリスク(障害物に潜られる)が増えます。ML+ソリッドがそのバランス点です。
まとめ|MLを選べば失敗しない
- 硬さはML。私も基本はMLで、店頭で勧めるのもML
- 理由はチニングの標準リグが13.4g(シンカー10g+ワーム3.4g)だから
- Lの上限は10〜15g。機種によっては既に超える
- Lは適合PEも0.3〜0.8号など細い側。0.8号が上限ギリギリになる
- Mは岸からのチニングでは要らない。曲がらずアタリを弾く
- ML+ソリッド(76ML-Sなど)が最も失敗しない組み合わせ
- 同じML表記でも上限が18gと32gの機種がある。表記よりスペック表を見る
- 調子はファストテーパー。シーバスロッドが代用しづらいのはここが違うから
- 適合を超えて使うと折れる。キャストの瞬間に負荷が集中する
硬さ選びで一番よくある失敗は、「柔らかいほうがアタリが分かるだろう」でLを買ってしまうことです。実際は上限に当たって釣りにならないことがあります。
柔らかさが欲しいなら、Lではなく「MLのソリッドティップ」で取ってください。これが答えです。
長さの選び方は、こちらでまとめています。

フックとシンカーの選び方は、こちらです。

チニングの全体像——釣れる場所の見つけ方から道具の揃え方までは、こちらにまとめています。



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