こんにちは、現役釣具屋店員のみきやです。
「チヌの餌って、結局どれが一番釣れるんですか」——店頭でいちばん多い質問です。そしていちばん答えにくい質問でもあります。
理由は単純で、チヌは何でも食べるから。オキアミ、カニ、貝、虫、コーン、サナギ、練り餌——調べれば調べるほど選択肢が増えて、結局どれを買えばいいのか分からなくなると思います。
先に立場を書いておきます。私のチヌ釣りの中心はルアーで、300匹以上釣っています。売り場でもルアーの担当です。
ただ、うちの店は毎年その人の担当部門が決まっていて、担当した釣りには自分で行くことになっています。そのおかげでショアの海も船も、川も渓流も一通りやってきました。エサ釣りも当然やります。オキアミも練り餌もカニも、自分で買って使う側です。
自分で使った感覚と、店で何が売れて何を聞かれるかの両方から書ける——この記事は、その両方を混ぜて整理したものです。
結論|「1番釣れる餌」は釣り方で変わる。ただし迷ったら3つに絞れます
最初に答えを出します。チヌの餌に、全部の釣り方で最強という餌はありません。釣り方が違えば、餌に求められる仕事そのものが変わるからです。
ただ、「よく分からないけどチヌを釣りたい」という人に売れているものなら、はっきりしています。
| 迷ったらこれ | 使う釣り | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|
| オキアミ(生/ボイル) | フカセ・紀州釣り・筏 | どこの店にもあって安い。チヌ以外もよく食う | エサ取りに真っ先に取られる |
| 練り餌(練り済みのパック) | フカセ・紀州釣り・筏 | 解凍すればそのまま使える。手が汚れにくい。エサ取りに強い | 食い込みはオキアミに劣ることがある |
| イガイ(カラス貝) | 落とし込み・ヘチ | その場の岸壁で採れる=タダ。夏場は本命 | 採れる時期と場所が限られる |
この3つを覚えておけば、店で「何がいりますか」と聞かれたときに固まらずに済みます。
★ただし先に、自分の道具で何ができるかを決めてください
ここを飛ばすと、買った餌が使えません。上の3つはどれも専用の道具が要る釣りのものだからです。
| いま持っている道具 | できる釣り | 買う餌 |
|---|---|---|
| サビキ・ちょい投げの竿だけ | ぶっこみ(そのままできます) | 青イソメ1パック。硬い餌も1つあると安心 |
| 磯竿とウキ、撒き餌の道具 | フカセ | オキアミ+練り餌 |
| 短い専用竿とタイコリール | 落とし込み・ヘチ | イガイ(現地)かカニ |
| 渡船で筏に渡る | 筏・かかり釣り | オキアミ・コーン・ボケなど |
いちばん多い失敗が、道具が無いのにオキアミと練り餌を買ってしまうことです。ちょい投げの竿しか持っていないなら、買うのは青イソメ。それが一番早く1匹に近づきます。
先に、この記事で出てくる言葉だけ
- 刺し餌(さしえ):針に付ける餌。この記事で選ぶのはこっちです
- 撒き餌(まきえ):海に撒いて魚を寄せる餌。刺し餌とは別に用意します
- エサ取り:チヌより先に餌を食べてしまう小魚。フグ・ベラ・スズメダイなど
そしてエサ取りが多い日は、練り餌かコーンかカニ。これだけは先に頭に入れておいてください。「釣れない」の原因の多くは、チヌが居ないことではなく、チヌの口に届く前に取られていることです。
そもそも、なぜチヌの餌はこんなに種類が多いのか
チヌは雑食性です。しかも、その振れ幅が魚の中でもかなり大きい。
甲殻類(カニ・エビ・フジツボ)、貝(イガイ・アサリ)、虫(ゴカイ・イソメ)、藻類、そして穀物や果物のような、本来海にないものまで食べます。
コーンやスイカでチヌが釣れるのは、ネタではなく本当の話です。堤防でチヌを狙う人がコーンを持っているのは、そういう理由です。
つまり「チヌが食べるもの」を全部挙げようとすると、リストは無限に伸びます。だから「食べるかどうか」ではなく、「その釣り方で使えるかどうか」で絞るのが正解です。
餌に求められる仕事は、釣り方で違います
| 釣り方 | 餌に求められる仕事 |
|---|---|
| フカセ | 撒き餌と同じものを、自然に漂わせる |
| 落とし込み・ヘチ | 壁に着いているものを、そのまま落とす |
| 紀州釣り・筏 | ダンゴの中で割れるまで持ちこたえる |
| ぶっこみ | 底に置いたまま、長く残る |
| 前打ち | 沈む速さと、見た目の自然さ |
同じチヌ狙いでも、要求がここまで違います。「最強の餌」を探す前に、自分がどの釣りをするのかを決めるほうが早いです。
釣り方から決めたい人は、こちらにまとめました。

釣り方別|何を持っていけばいいか
ここからは釣り方ごとに、店で実際に出ている餌を挙げます。
フカセ釣り|オキアミが基準。取られるなら練り餌かコーン
| 餌 | 位置づけ | エサ取り耐性 |
|---|---|---|
| オキアミ(生) | 基準。まずこれ | △ 弱い |
| オキアミ(ボイル) | 生より身が締まって残る | ○ |
| 練り餌 | エサ取りが多い日の主役 | ◎ |
| コーン | 安くて手軽。チヌの反応が良い日がある | ◎ |
| サナギ | チヌが好む。硬くて匂いが強い | ◎ |
売れている量でいうと、圧倒的にオキアミです。ただしオキアミだけ買っていく人は、たいてい後から練り餌を買い足しに来ます。理由はひとつで、エサ取りに勝てないからです。
最初から2種類持っていくのが、いちばん失敗しません。オキアミと、練り餌かコーン。これで「取られて何もできない」という最悪の展開は避けられます。
フカセの道具立てと、撒き餌の作り方・量はこちらに書きました。

落とし込み・ヘチ釣り|イガイが本命。ただし季節がある
道具立てと、アタリの取り方はこちらに詳しく書きました。

| 餌 | 位置づけ | 入手 |
|---|---|---|
| イガイ(カラス貝) | 夏場の本命 | 岸壁で採れる(タダ) |
| カニ(イワガニ・ボサガニ) | 通年で使える。エサ取りに強い | 店で買える/現地で採れる |
| フジツボ | イガイが無い時期の代わり | 岸壁で採れる |
| パイプ虫 | 冬〜春の低水温期に効くと言われる | 岸壁で採れる(エサ掻きが要る) |
| シラサエビ | 動きで誘える | 店(活かしが必要) |
落とし込みの人は、店で餌をあまり買いません。釣り場の岸壁に着いているイガイを、その場で採って使うのが基本だからです。
店で出るのはカニのほうです。イガイが着いていない時期(おおむね秋から春)と、エサ取りが多くてイガイが持たない日——この2つでカニが動きます。
「イガイが無いんですけど」と言われたら、私はカニを勧めます。通年で使えて、しかも小魚に取られにくいからです。
紀州釣り(ダンゴ)・筏釣り|ダンゴの中で生き残る餌を選ぶ
この2つは餌をダンゴで包んで落とす釣りです。なので餌に求められるのは、ダンゴが割れるまで潰れずに残ること。
| 餌 | 位置づけ |
|---|---|
| オキアミ | 基準。ただし潰れやすい |
| コーン・サナギ | ダンゴの中で形が残る |
| 練り餌 | 硬さを自分で調整できる |
| ボケ(スナモグリ) | 特効と言われる。値段は高め。ただし殻が軟らかく、エサ取りには弱い |
| アケミ貝 | 殻ごと使える。大型狙い |
| シラサエビ | 活きの良さで誘う |
ボケとアケミ貝は、店では「知っている人が買っていく餌」です。初めての人が買っていくことはまずありません。値段もそれなりにします。
最初はオキアミとコーンで十分だと思います。それで釣れなかった日に、次の手として覚えておくくらいの位置づけです。
ぶっこみ釣り|置いておくので、残る餌が要る
| 餌 | 位置づけ | エサ取り耐性 |
|---|---|---|
| 青イソメ | いちばん手に入りやすい万能餌 | △ |
| マムシ(本虫・岩イソメ) | 値段は高いが食いが違うと言われる | ○ |
| ユムシ | 大物狙い。1匹が大きい | ◎ |
| イカの切り身 | 安い。長く残る | ◎ |
ぶっこみは投げて置いておく釣りなので、置いている間に取られてしまうと、そもそも勝負になりません。ここがこの釣りの難しいところです。
青イソメは万能ですが、フグやベラにも好かれます。エサ取りが多い場所なら、イカの切り身のような「残る餌」を混ぜて持っていくのが現実的です。
前打ち・見えチヌ|カニがほぼ答え
見えているチヌに直接落としていく釣りでは、カニが定番です。
理由は沈む速さと、見た目の自然さ。チヌが普段から食べているものを、そのまま落とすので、警戒されにくいと言われます。
この釣りをする人は、たいてい自分でカニを採ってきます。店でカニを買う人より、カニを入れておくケースを買う人のほうが多いくらいです。
生きたカニが用意できない日は、人工餌という手があります
カニは現地で採るのが基本ですが、採れる場所と時期は限られます。そこで店でよく出るのがカニ型の人工餌です。
常温で保存できて、余っても次の釣行にそのまま持ち越せる。生きたカニの世話が要らないのが最大の利点です。落とし込みや前打ちをやる人が、保険として1袋バッグに入れている——という使い方をよく見ます。
食いは生きたカニに譲る場面もありますが、「カニが採れなかったから今日は釣りにならない」を無くせるのは大きいです。
★エサ取りに強い順|「チヌしか食べない餌」はあるのか
ここがこの記事でいちばん書きたかったところです。
「釣れない」と言って店に来る人の話を聞くと、実際には「釣れない」ではなく「取られている」ことがかなり多いです。針に何も残っていない状態で、ずっと待っている——というやつです。
結論から言うと、「チヌしか食べない餌」は存在しません。ただし「エサ取りが食べにくい餌」は、はっきりあります。
| 強さ | 餌 | なぜ強いか |
|---|---|---|
| ◎ 強い | 練り餌 | 硬さを自分で調整できる。硬く練れば小魚の口では崩せない |
| ◎ 強い | コーン | 硬くて滑る。小魚がつつきにくい |
| ◎ 強い | カニ | 殻がある。小魚には手に負えない |
| ◎ 強い | イガイ・アケミ貝 | 殻ごと使えば、割れるまで中身が守られる |
| ◎ 強い | サナギ | 硬くて匂いが強い。フグやスズメダイが食べにくい |
| ○ 中くらい | ボイルオキアミ | 身が締まっていて、生よりは残る |
| ○ 中くらい | イカの切り身 | 硬くて千切れにくい |
| △ 弱い | 生オキアミ | 柔らかい。エサ取りの第一標的 |
| △ 弱い | 青イソメ | 動いて目立つぶん、真っ先に見つかる |
「今日はエサ取りが多いな」と思った瞬間に、上の段へ切り替える。これができるかどうかで、同じ場所に立っていても結果が変わります。
だから餌は、せめて2種類は持っていってください。1種類しか持っていないと、切り替えるという選択肢そのものが無くなります。
それでも取られるときは、餌を大きくする
硬い餌に替えてもまだ取られるなら、単純に大きくするのが手です。
オキアミなら2匹掛け、練り餌なら大きめに丸める。小魚がつついても、チヌの口に届く分が残る——という考え方です。餌の消費は増えますが、何も付いていない針を落とし続けるよりはるかにマシです。
釣り方を横断して並べるなら|使いやすさと出番の多さで見た順番
「結局どれから買えばいいのか」という質問が多いので、順番を付けておきます。
これは「よく釣れる順」ではありません。店でどれだけ出るかと、初めての人が失敗しにくいかで並べています。釣果の順位を決められる立場ではないので、そこは正直に書いておきます。
| 餌 | 出番 | 初めての人には | |
|---|---|---|---|
| 1 | オキアミ | フカセ・紀州釣り・筏 | ◎ まずこれ |
| 2 | 練り餌 | フカセ・紀州釣り・筏 | ◎ オキアミと2枚看板 |
| 3 | 青イソメ | ぶっこみ・投げ・ちょい投げ | ○ どこでも買える |
| 4 | カニ | 落とし込み・前打ち・ヘチ | ○ エサ取りに強い |
| 5 | コーン | フカセ・紀州釣り | ◎ 安い・硬い・腐らない |
| 6 | イガイ | 落とし込み・ヘチ | ○ ただし夏限定・現地調達 |
| 7 | サナギ | フカセ・紀州釣り | ○ エサ取りに強い |
| 8 | ボケ | 紀州釣り・筏 | △ 高い。低水温期・食い渋りの切り札 |
| 9 | アケミ貝 | 紀州釣り・筏 | △ 大型狙い向け |
| 10 | マムシ(本虫) | ぶっこみ・投げ | △ 高い |
1位と2位が入れ替わることはありますが、この2つが上にあるのは動きません。オキアミは食わせる力、練り餌は残る力——役割が正反対だからこそ、2つ持っていくと噛み合います。
値段の感覚も書いておきます
餌は毎回かかる費用なので、ここも知っておいたほうがいいと思います。
| 価格帯 | 餌 |
|---|---|
| 安い | コーン、サナギ、イカの切り身、イガイ(現地調達なのでタダ) |
| 普通 | オキアミ、練り餌、青イソメ、カニ |
| 高い | ボケ、マムシ(本虫)、アケミ貝、ユムシ |
高い餌は、基本的に「ここぞ」で使うものです。エサ取りが多い日に高い餌を投入するのは、いちばんもったいない使い方だと思います。
安い餌で状況を見て、チヌが居ると分かってから高い餌に替える。店で聞かれたら、私はこの順番を勧めています。
スーパーや家にあるもので釣れますか
釣れます。ただし使える釣り方が限られるので、そこだけ注意してください。
| もの | 使えるか | 備考 |
|---|---|---|
| コーン(缶詰) | ◎ 定番 | 釣具店でも「チヌ用コーン」として売っています |
| アサリ | ○ | むき身にして使う。柔らかいので落とし込み向き |
| サナギ(缶) | ○ | 釣具店の粉末や漬けのほうが扱いやすい |
| イカの塩辛 | ○ | 匂いが強い。実績を書いている人がいます |
| スイカ・黒豆 | △ 場所による | 釣れた報告はあるが、どこでも通用はしません |
| ソーセージ・練り物 | △ | 柔らかく、餌持ちが悪い |
コーンだけは別格で、これはもはや「家にあるもの」ではなく正規の餌です。釣具店にチヌ用の加工コーンが普通に並んでいます。
スイカや黒豆のような餌は、「その場所のチヌがそれを食べ慣れているかどうか」で決まります。河川で生活排水が流れ込むような場所ほど、変わったものに反応しやすいと言われます。試すのは面白いですが、それ1本で行くのは勧めません。
練り餌は自作できますか
できます。ただし最初は市販品を買ったほうがいいと思います。
理由は硬さです。練り餌の価値は「硬さを調整できること」にあるのですが、その基準を知らないうちに自作すると、何が正解なのか分からないまま終わります。
市販品を一度使って、「これくらいの硬さで、これくらい残る」という感覚を覚えてから自作に移ると、失敗が少ないです。
市販の練り餌は、どれを買えばいいか
店に並んでいるものは、おおまかに3種類に分かれます。
- 冷凍パック(練り済み):チヌ用ではこれが主流。解凍すればそのまま使えて、練り直しも要らない
- 常温の練り餌:日持ちする。冷凍ほど種類は多くない
- 粉末(自分で水を入れて練る):いちばん安いが、現場での作業が増える
初めての人には、冷凍パックを勧めています。失敗しようがないからです。凍ったまま持っていって、解凍されたぶんをちぎって使う。それだけで済みます。粉末は安いのですが、釣り場で水を入れて練る作業が、思ったより面倒です。
色のバリエーションがあるのも冷凍パックの特徴で、黄色・赤・白あたりが定番。迷ったら黄色——濁りでも見えて、チヌでの実績もいちばん語られています。
チヌの餌は通販に向かないものが大半です。カニとシラサエビは生き物、イガイは現地調達——どれも送ってもらうものではありません。通販で確実に届くのは、練り餌と、あとで書く人工餌くらいだと思ってください。
針への付け方で、釣れ方は変わります
餌を買って終わりではありません。店で「これ、どうやって付けるんですか」と聞かれることが本当に多いので、主要なものだけ書いておきます。
| 餌 | 付け方の基本 | つまずきやすいところ |
|---|---|---|
| オキアミ | 尾羽根を切り、切り口から針を入れて腹側に抜く(尻掛け)。遠投やエサ取りが多い日は背中から抜く「背掛け」 | まっすぐ付けないと回転して、糸がヨレます |
| 練り餌 | 針全体を包むように丸める | 柔らかすぎると投げた瞬間に飛びます |
| コーン | 1〜3粒を針先に刺す | 刺す位置が浅いと外れる |
| カニ | 甲羅の脇から、身を潰さないように横に刺す | 潰すと弱って動かなくなります |
| イガイ | 殻ごと使う。蝶番のところに針を刺す(チョン掛け) | むき身にすると柔らかく、落ちやすい |
| 青イソメ | 頭から通し刺し、または房掛け | 長く垂らすと食い逃げされる |
オキアミの「まっすぐ」は、思っているより大事です
オキアミが曲がって付いていると、水中で回転して糸がヨレます。仕掛けが不自然になるうえに、ラインも傷む。店頭でも必ず説明していることですが、自分でも一番気をつけているところです。
尻尾を切ってから刺すのは飾りではなく、切った断面から針を入れることで、まっすぐ通しやすくなるから。切り口から匂いが出るという効果もあると言われます。
練り餌は「丸めるだけ」ではありません
練り餌の本当の価値は、硬さを現場で変えられることです。私も釣り場でいちばん触っているのがここです。
- エサ取りが多い→ 硬めに、小さく丸める
- チヌの食いが渋い→ 柔らかめに、大きく丸める
- 深い場所・流れが速い→ 硬めにして、底まで持たせる
同じ1つの餌で、これだけ性格を変えられるのが練り餌です。「とりあえず丸めて付ける」だけで終わらせているなら、半分しか使えていません。
季節で、餌は変わりますか
変わります。店で動くものも、季節ではっきり入れ替わります。
| 季節 | 動く餌 | 理由 |
|---|---|---|
| 春(乗っ込み) | オキアミ・ボケ・カニ | 産卵前で荒食いする。動物質が効く時期 |
| 夏 | イガイ・コーン・練り餌 | 岸壁にイガイが着く。エサ取りも最盛期 |
| 秋 | カニ・オキアミ・サナギ | イガイが落ちる。数釣りしやすい |
| 冬 | オキアミ・練り餌 | エサ取りが減って生オキアミがそのまま通る。低水温の食い渋りには練り餌 |
覚え方は単純で、夏はエサ取りをかわす餌、冬は食わせにいく餌。夏はエサ取りが敵、冬はチヌの活性が敵——狙う相手が違う、と考えると分かりやすいです。
冬に練り餌が動くのは、エサ取りのせいではありません。寒い時期は手が濡れるのが単純に辛いので、解凍してちぎるだけで済む練り餌が選ばれる——という、かなり現実的な理由もあります。
春の乗っ込みだけは、少し別に考えてください
春の産卵前は、チヌが一年でいちばん食う時期と言われます。動物質の餌が効きやすい時期なので、ボケやカニのような値段が張る餌を使う価値がある場面のひとつだと思います(ボケは低水温期の食い渋りにも効くと言われます)。
店でもボケが動くのは春です。普段は「知っている人が買っていく餌」なのに、乗っ込みの時期だけは、初めての人も名前を出して買いに来ます。それだけ「春はボケ」という認識が定着しているということだと思います。
逆に真夏はエサ取りが最盛期で、高い餌を使っても、チヌに届く前に消えます。高い餌を使う時期と、硬い餌でしのぐ時期は、はっきり分かれます。
餌の保存と、持ち運びで失敗しないために
ここで損している人が多いです。
- 生オキアミは、常温で持ち歩くと溶けます。夏場はクーラーか、せめて保冷剤を
- 余った生オキアミは冷凍できます。ただし一度溶けたものを再冷凍すると、身が崩れて使い物になりません
- 練り餌は、余りをそのまま冷凍庫に戻せます。ここがいちばん扱いやすい点です
- カニやシラサエビは生きています。密閉すると死ぬので、専用のケースか、湿らせたおがくずで
- イガイは現地調達が基本。持ち帰って保存するものではありません
「余った餌をどうするか」で釣行のコストは意外と変わります。練り餌が支持されるのは、釣れるからだけではなく、無駄が出にくいからでもあります。
車に置きっぱなしにすると、次が悲惨です
これは本当に多い失敗で、私も一度やりました。使いかけのオキアミを車に積んだまま忘れると、夏場なら一日で車内が終わります。匂いは簡単には抜けません。
帰ったらその日のうちに、冷凍するか捨てるか決めてください。「次の釣行で使おう」と車に置くのがいちばん危ないです。
この点でも練り餌は楽です。冷凍パックなら、余りはそのまま冷凍庫に戻せる。車に置き忘れることもありません。釣り自体の頻度が上がるかどうかは、こういう細かい手間で決まると思っています。
ちなみに、餌を使わないという選択肢もあります
エサ釣りの話をしてきましたが、私のチヌ釣りの中心は今もルアーです。300匹以上はルアーで釣っています。両方やるからこそ、違いははっきり分かります。
ルアーの利点は、餌の管理が一切要らないこと。冷凍も、匂いも、余りも、生き餌の世話もありません。思い立った日に、そのまま出られます。
逆に不利なのは、食わせる力そのものです。低水温期や、チヌが動かない日は、餌釣りのほうが明確に強いと思います。撒き餌で寄せられるという一点も、ルアーには真似できません。
「餌の準備が面倒で足が遠のいている」なら、ルアーは合うかもしれません。
| 餌釣り | ルアー | |
|---|---|---|
| 食わせる力 | ◎ | ○ |
| 低水温期 | ◎ | △ |
| 寄せる(撒き餌) | ◎ | × |
| 準備の手間 | △ | ◎ |
| 移動のしやすさ | △(荷物が多い) | ◎ |
| ランニングコスト | 毎回かかる | 最初だけ |
どちらが上という話ではありません。餌釣りは「その場所で待って食わせる」釣り、ルアーは「歩いて探す」釣りで、成立の仕方がそもそも違います。
私は両方やりますが、使い分けているだけで、どちらかが上とは思っていません。その日に何を持って出るかは、水温と、正直に言えばその日の気分で決めています。

チヌの餌のよくある質問
チヌが1番釣れる餌は何ですか?
釣り方によって変わるので、ひとつには決まりません。そのうえでフカセならオキアミ、落とし込みなら夏はイガイ・それ以外はカニ、紀州釣りならオキアミとコーン——これが店でいちばん出ている組み合わせです。迷ったらオキアミ+練り餌の2種類で始めてください。
チヌの餌で最強なのはどれですか?
「最強」を「どんな日でも仕事をする餌」と定義するなら、練り餌とカニです。理由はエサ取りに強いから。ただし食い込みの良さではオキアミが上なので、条件が良い日はオキアミのほうが釣れます。万能な1種類は存在しません。
チヌの餌にアサリは使えますか?
使えます。むき身にして針に付けます。柔らかいので、投げる釣りには向きません。落とし込みのように、そっと落とす釣りで使ってください。殻ごと使うアケミ貝とは、扱いが別物です。
チヌの餌になる貝は何がありますか?
イガイ(カラス貝)、アケミ貝、アサリあたりです。イガイは岸壁で採れるので落とし込みの本命、アケミ貝は殻ごと使って紀州釣りや筏で大型を狙う、という住み分けになります。なお岸壁のフジツボもよく使われますが、あれは貝ではなく、カニやエビと同じ甲殻類です。
チヌしか食べない餌はありますか?
ありません。ただし「エサ取りが食べにくい餌」はあります。練り餌・コーン・カニ・殻付きの貝がそれで、硬さや殻で小魚を弾くという考え方です。チヌを選んでいるわけではありません。
スーパーで買えるもので釣れますか?
コーンなら十分に釣れます。むしろ釣具店にもチヌ用のコーンが売っているくらい定番です。アサリも使えます。スイカや黒豆でも釣れた報告はありますが、その場所のチヌが食べ慣れているかどうかに左右されるので、それ1本で行くのは勧めません。
練り餌は自作できますか?
できます。ただし練り餌の価値は「硬さを調整できること」にあるので、まず市販品で基準の硬さを覚えてからのほうが失敗しません。初めてなら冷凍パックが扱いやすいです。
ぶっこみ釣りの餌は何がいいですか?
青イソメが基本で、もっと食わせたいならマムシ(本虫)、大物狙いならユムシという順です。エサ取りが多い場所では、イカの切り身のような「残る餌」を併用してください。置いておく釣りなので、餌が残っていないと勝負になりません。
夜のチヌ釣りの餌は変えたほうがいいですか?
大きく変える必要はありません。むしろ夜はエサ取りの動きが鈍るので、昼に取られて使えなかった柔らかい餌が使いやすくなります。生オキアミや虫餌の出番です。
撒き餌は必ず必要ですか?
釣り方によります。フカセと紀州釣りは撒き餌が前提の釣りです。落とし込み・前打ち・ぶっこみは撒き餌なしで成立します。撒き餌が禁止されている釣り場もあるので、行く前に確認してください。
餌はどれくらい持っていけばいいですか?
刺し餌なら、半日で1パックが目安です。ただしエサ取りが多い日は、倍持っていっても足りません。足りなくなるのは、たいてい「柔らかい餌しか持っていない日」なので、量を増やすより、硬い餌を1つ足すほうが効きます。
チヌの餌の代用になるものはありますか?
コーンがいちばん確実な代用です。缶詰をそのまま持っていけて、硬くて、腐りません。そのほかアサリのむき身、イカの切り身あたりが現実的です。ただし「代用」で通用するのは、フカセや紀州釣りのように撒き餌で寄せる釣りが中心。落とし込みのように「そこにあるものを落とす」釣りでは、代用は効きにくいです。
虫が触れないのですが、チヌ釣りはできますか?
できます。フカセならオキアミ・練り餌・コーン、落とし込みならイガイやカニで、虫を一切触らずに成立します。どうしてもぶっこみをやりたい場合は、虫型の人工餌という手もあります。常温で保存できて、見た目も生の虫ほど生々しくありません。実際、「虫は無理です」と言って人工餌を買っていく人は珍しくありません。
チヌの餌は虫ですか?
虫餌も使いますが、虫だけではありません。ぶっこみや投げでは青イソメやマムシが主役ですが、フカセではオキアミ、落とし込みでは貝やカニが中心になります。虫が苦手なら、オキアミ・練り餌・コーンだけでチヌ釣りは成立します。実際、「虫は触れません」という理由でフカセを選ぶ人は珍しくありません。
チヌとキビレで、餌は変えますか?
変えません。同じ場所で混ざって釣れる魚で、食べるものもほぼ同じです。キビレのほうが河川の上流側まで入るので、そこで釣るなら虫餌の比率を上げるくらいの違いです。

まとめ|迷ったら「2種類持っていく」だけ覚えてください
長くなったので、最後に絞ります。
- 全部の釣り方で最強という餌は存在しません。釣り方で、餌に求められる仕事が違うからです
- 迷ったらオキアミ+練り餌(またはコーン)の2種類。これで大半の日は成立します
- 「釣れない」の多くは、居ないのではなく取られています。硬い餌に替える手を必ず持っておく
- 夏はエサ取りをかわす餌、冬は食わせにいく餌。敵が違います
- 落とし込みなら、夏はイガイを現地で採るのがいちばん安くて強い
1種類だけ持っていくのが、いちばんもったいないと思います。切り替えるという選択肢が無くなるからです。2つ持っていくだけで、釣りの組み立てが変わります。
釣り方そのものから決めたい人は、こちらからどうぞ。

ルアーでチヌを狙う場合は、こちらにまとめています。



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