チヌの落とし込み釣り入門|ヘチ・前打ちとの違いと、竿は代用できるかの判定

木のテーブルに置いたバットに入ったクロダイ

こんにちは、現役釣具屋店員のみきやです。

落とし込みは、チヌ釣りの中でいちばん道具が少なくて済む釣りです。竿とリールと道糸と針、それだけ。撒き餌も要りません。

この記事で商品を挙げるのも、代用が利かない数点だけです。それ以外は手持ちのもので足ります。

ただ調べ始めると、いきなりつまずきます。「ヘチ釣り」「落とし込み」「前打ち」——3つの言葉が同じものを指しているのか違うのか、はっきり書いてある記事が少ないからです。

目次

先に|この記事は「堤防でチヌを狙う落とし込み」の話です

ここを最初に切っておきます。「落とし込み釣り」で調べると、まったく別の釣りが大量に出てきます。

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呼び名どんな釣りかこの記事の対象
落とし込み(ヘチ)堤防の壁際にエサを落として、足元のチヌを狙う◎ これです
落とし込み(船)船で小魚を釣って、そのまま底に落として青物を狙う。「のませ」「泳がせ」に近い× 別物
落とし込みサビキ上と同じ。船で使う仕掛けの名前× 別物

船のほうは、対象魚がブリやヒラマサです。仕掛けも竿も、まったく違います。「大阪で落とし込みができる船は」といった情報を探している人は、この記事の対象ではありません。

ややこしいのは、店頭でも混ざることです。「落とし込みの仕掛けください」と言われて、チヌ用を出すか、船の青物用を出すかで在庫棚が正反対になります。私はまず「堤防ですか、船ですか」と聞き返しています。

この記事で扱うのは、堤防で足元のチヌを狙うほう。竿は2〜3m、リールはタイコリール、エサは岸壁で採る——という釣りです。

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ヘチ釣り・落とし込み・前打ちは何が違うのか

結論から言うと、厳密に分けている人もいれば、同じ意味で使っている人もいます。店頭でも、この3つは会話の中で混ざります。

そのうえで、いちばん通じやすい使い分けはこうです。

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呼び名どこを狙うか竿の長さの目安足場
ヘチ釣り足元の壁のすぐ際。真下に落とす2.4〜3m堤防・ケーソン
落とし込み壁際+少し沖。目印で見せながら落とすやり方も含む3〜4.5m(目印を使うなら長め)堤防
前打ちテトラや石積みの向こう側に投げて落とす4.5〜6.3mと長いテトラ帯・石積み・護岸

ざっくり言えば「どこまで届かせたいか」の違いです。真下だけならヘチ、少し投げるなら前打ち。落とし込みはその中間で、総称としても使われます。

初めてなら、まずヘチ(足元)からで問題ありません。チヌは驚くほど岸壁にいます。

道具はこの3つでほぼ共通です。竿の長さが変わるだけで、リールも仕掛けもエサも同じ。だから「まずヘチ竿を1本買って、テトラをやりたくなったら長いのを足す」という順番で困りません。

逆に言うと、最初から前打ち用の長い竿を買うと、足元が扱いにくくて苦労します。5mの竿で真下に落とすのは、想像以上にやりにくいです。

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★手持ちの竿で代用できますか

店頭でいちばん多い質問です。先に答えを出します。

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手持ちの竿代用できるか理由
磯竿(1〜2号・4.5〜5.3m)△ 前打ちなら可長すぎて足元は扱いにくいが、テトラの前打ちには使える
万能竿・小継の振出竿(2〜3m)◎ 長さは合うリールの問題を解決すれば成立する
シーバスロッド(8〜9ft)△ できなくはない長さは近い。ただしガイドが少なく糸が風で膨らむのと、穂先が硬くアタリが出にくい
チニングロッド(7.6ft)△ 同上長さは合う。ルアー用なので穂先が硬めで、アタリは取りにくい
投げ竿・遠投竿×長すぎて足元が扱えず、穂先が硬いのでアタリがまったく出ない

★本当のネックは竿ではなく「リール」です

ここが代用の分かれ目です。

落とし込みはエサを自然に沈めていく釣りで、糸が自分の重さだけでスルスル出ていく必要があります。スピニングリールだと、ベールを開けても糸が出たり止まったりして、不自然になります。

だからこの釣りではタイコリール(黒鯛リール)を使います。回転が軽く、糸が真っすぐ落ちていくためです。

つまり「竿は代用できても、リールは代用しにくい」というのが実際のところです。タイコリールは数千円からあるので、手持ちの2〜3mの竿+タイコリールで始めるのが、いちばん安い入り方だと思います。

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スピニングでやる方法もあります。ガン玉を重めにして、落ちる速さを錘に任せるやり方です。自然さは落ちますが、道具を買い足さずに試せます。まず1回やってみて、面白ければタイコリールを買う——という順番でいいと思います。

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道具|これだけあれば始められます

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道具目安備考
竿2.4〜3m のヘチ竿足場が高いほど長いほうが楽
リールタイコリール(黒鯛リール)ここが専用品。数千円から
道糸ナイロン2〜3号色付きだとアタリが見やすい
ハリスフロロ 1.5〜2号を80cm〜1ヒロサルカンは使わず道糸に直結
チヌ針 2〜4号エサに合わせて変える
ガン玉B〜3B付けない日もある
その他エサ掻き/偏光グラス/ギャフかタモエサ掻きは貝を剥がす道具

仕掛けは、道糸の先にフロロのハリスを結んで、その先に針。それだけです。サルカンもウキも使わず、道糸とハリスを直接つなぐので、これを「直結仕掛け」と呼びます。

ウキも撒き餌も要りません。クーラーとバッカンを持たずに、片手で持てる荷物で堤防に行けます。私がこの釣りを好きなのは、正直そこが大きいです。

竿の長さは、足場の高さで決めます

迷ったら2.7mです。標準的な堤防ならこれで足ります。

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足場竿の長さ
低い堤防・水面が近い2.4m
標準的な堤防2.7m(迷ったらこれ)
足場が高い・大型の岸壁3〜3.6m

長いほど遠くに落とせますが、足元の操作はしにくくなります。自分がよく行く堤防の高さで決めてください。

道糸の色は、実は重要です

この釣りはアタリを糸で見ます。だから道糸が見えるかどうかが、そのまま釣果に効きます。

黒鯛用として売られている道糸は、オレンジや黄色など見やすい色になっています。透明な糸だと、慣れないうちはアタリを見逃しやすくなります。ここはケチらないほうがいいと思います。

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エサ|夏はイガイ、それ以外はカニ

この釣りのエサは、基本的に現地で採ります。

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エサ時期入手
イガイ(カラス貝)夏(おおむね6〜9月)岸壁に着いているのを剥がす
カニ通年石の下で採る/店でも買える
フジツボイガイが落ちたあと岸壁
パイプ虫冬〜春岸壁(エサ掻きが要る)

イガイの採り方と付け方

岸壁の水面近くに、黒い貝がびっしり着いていることがあります。それがイガイです。

  1. エサ掻き(先が曲がった金属の道具)を壁に沿わせて、まとめて剥がす
  2. 大きさは親指の先くらいを選ぶ。大きすぎると食い込まない
  3. 殻ごと使う。むき身にすると柔らかくて落ちやすい
  4. 針は蝶番(ちょうつがい)の黒い部分に刺す。ここが硬いので外れにくい

複数個をまとめて付ける「ダンゴ掛け」や、足糸(貝が壁にくっつく糸)に針を通す「繊維掛け」もあります。最初は1個をチョン掛けで十分です。

採取が禁止されている港もあります。現地の看板と、漁協のルールは必ず確認してください。岸壁から身を乗り出す作業になるので、ライフジャケットは必ず着けてください。

この釣りは、壁際に立つ時間が長く、水面を覗き込む動作も多い。堤防釣りの中では落水のリスクが高いほうです。初めての場所は、できれば単独を避けてください。

エサ掻きは、あると無いとで別物です

素手でイガイを剥がすのは、実際やってみると難しいです。足糸で壁に張り付いているので、指では滑って取れない。無理に力を入れると殻が割れて、身だけが残ります。

エサ掻き(貝落とし)は先が曲がった金属の棒で、壁に沿わせて滑らせるだけでまとめて剥がせます。数百円からあるので、この釣りをやるなら最初に買っておいてください。

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手が届かない高さに着いている場合は、柄の長いタイプもあります。足場が高い堤防では、これが無いとエサが採れずに終わります。

採れなかった日の保険を持っていってください

ここが初めての人の最大のリスクです。イガイが着いていない、採取が禁止されている、そもそも壁に手が届かない——現地に着いてから分かることばかりで、そうなると釣り自体が成立しません。

なので初回は、店でカニを1杯買ってから行ってください。釣具店では「ヘチ用のカニ」で通じます。イガイが採れそうなら現地調達に切り替えればいいだけです。

カニ型の人工餌という手もあります。常温で日持ちするので、バッグに1袋入れておけば保険になります。生きたカニより食いは落ちますが、「今日は何も無い」を避けられます。

エサの全体像は、こちらにまとめました。

釣り方|落として、見て、待たない

  1. 壁から30cmほど離れて立つ。影と足音でチヌは逃げます
  2. 竿先を壁のすぐ際に出し、エサを水面に落とす
  3. リールに軽く親指を当てて、落ちる速さを調整しながら糸を出す(サミングといいます)
  4. 糸を見る。張らず緩めずで、まっすぐ落ちていく状態を保つ
  5. 底まで落ちたら、いったん上げて次の場所へ

この釣りの本質は、待たないことです。1箇所に落とすのは1〜2回。ダメならすぐ数歩移動します。堤防を端から端まで歩いて、チヌがいる場所を探し当てる釣りだと考えてください。

アタリの取り方|竿ではなく糸で気づきます

ここが慣れるまでいちばん難しいところです。

落とし込みのアタリは、手に「コツン」と来るとはかぎりません。スルスル落ちていた糸が、フッと止まる。あるいは横に走る。落ちる速さが変わる。——それがアタリです。

だから糸から目を離せません。色付きの道糸を使うのは、これを見やすくするためです。

「止まった」と思ったら、聞くように竿を上げる。重みが乗ったらそのまま合わせる。底に着いただけのことも多いので、最初は空振りを気にしないでください。

掛けたあとは、すぐ剥がす

チヌは掛かった瞬間に、壁や敷石に向かって突っ込みます。細い糸をそのまま壁際で使う釣りなので、牡蠣殻に擦れると一発で切れます。

掛けたら、まず壁から引き剥がす。そのあとは慌てず、竿の弾力で浮かせてくる。足場が高い場所ではタモかギャフが要ります。忘れずに持って行ってください。

ガン玉(錘)の使い分け|この釣りの核心はここ

店頭で意外と聞かれないのに、いちばん釣果を左右するのがガン玉です。

先に用語だけ。ガン玉の「B」はサイズ表記で、B(約0.55g)→2B(約0.8g)→3B(約1g)と、数字が大きいほど重くなります。(ジンタンの「G1」「G2」は逆に数字が大きいほど軽いので、別物として覚えてください)

落とし込みは「エサをどれくらいの速さで落とすか」を操作する釣りで、その速さを決めているのがガン玉の重さだからです。

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ガン玉落ちる速さこんなとき
付けないいちばん遅い浅いタナで食う夏。イガイの重さだけで落とす
B〜2Bゆっくり標準。迷ったらここ
3B〜4B速い風がある/流れが速い/深いタナまで一気に落とす
5B以上かなり速い足場が高くて糸が風に取られるとき

重くすると釣れなくなる、という話ではありません

「軽いほど自然だから釣れる」と書かれがちですが、実際はそう単純ではありません。

風が吹いている日に軽いガン玉で落とすと、糸が横に流されて、そもそも壁際に落ちません。アタリも取れない。この状態なら3Bを付けて真っすぐ落としたほうが、結果として釣れます。

自然さより先に、まず「狙った場所にまっすぐ落ちているか」。そこを満たしたうえで、いちばん軽いものを選ぶ——という順番です。

タナが分からないときの探り方

チヌがどの深さにいるかは、日によって変わります。

  1. まずガン玉なしで、水面直下から底まで一通り落としてみる
  2. 底まで何も無ければ、次は少し重くして手早く底付近を探る
  3. アタリがあった深さを覚えて、以降はそこを重点的に

夏の盛期は、深くても4mくらいまでで出ます。水面直下でいきなり食ってくることもあるので、落とし始めから気を抜かないでください。

仕掛けの細かいところ

ハリスは組みますか?

基本は組みます。フロロの1.5〜2号を、80cm〜1ヒロ(約1.5m)ほど。

「直結」というのは、ハリスを省くという意味ではありません。サルカンを挟まず、道糸とハリスを直接結ぶという意味です。サルカンがあると、そこで糸の落ち方が変わってしまうので、この釣りでは使いません。

慣れた人は、道糸に直接針を結んでしまうこともあります。結び目が1つ減るぶん、落ち方はより自然になります。ただし擦れたときに道糸そのものが傷むので、最初はハリスを入れておくほうが安全です。

結び方は2つ覚えれば足ります

ここでつまずく人がいちばん多いので、名前を書いておきます。

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どこ結び方
道糸とハリス電車結び(またはトリプルエイトノット)
ハリスと針外掛け結び(またはチヌ結び)

どちらも釣りの基本の結びで、覚えれば他の釣りでも一生使えます。名前が分かれば、動画でも図解でもすぐ出てきます。

どうしても結べない日は、市販の「ヘチ用の完成仕掛け」も売っています。ハリスと針が結んである状態なので、道糸に結ぶ1箇所だけで済みます。最初の1回はこれで行って、釣り場で結ぶ練習をするのが早いと思います。

道糸はナイロン? PEは使えますか?

この釣りはナイロンが基本です。擦れが気になる場所ではフロロを使う人もいます。PEは向きません。

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ナイロンPE
落ち方◎ 自重で自然に沈む× 軽くて水面に浮く
視認性◎ 色付きが多い
擦れ○ ある程度耐える× 貝殻で一発で切れる
伸びあり(衝撃を吸収)なし

PEは軽すぎて、そもそも落ちていきません。壁は牡蠣殻とフジツボだらけなので、擦れにも弱い。ここは素直にナイロンの2〜3号にしてください。

針の号数はエサに合わせます

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エサ針の号数
イガイ(小さめ)チヌ針 2号
イガイ(大きめ)・カニチヌ針 3〜4号
フジツボ・パイプ虫2号

迷ったら3号です。針が大きすぎるとエサに埋もれて掛からず、小さすぎると身切れします。

時期・時間・場所

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季節状況
春(4〜5月)乗っ込みで型が出る。ただしイガイはまだ少ない
夏(6〜9月)本番。イガイが着いて、数も出る
秋(10〜11月)イガイが減り始める。カニやフジツボに切り替える
冬(12〜3月)数は落ちるが型は良い。深いタナを狙う

時間帯は、朝と夕方が基本です。ただこの釣りは日中でも成立します。むしろ明るいほうが糸が見やすいので、初めてなら昼間のほうがやりやすいと思います。

狙う場所

  • ケーソンの継ぎ目(目地)。ここは最優先で落とす
  • スリット(堤防がクシ状に開いた構造)。好ポイントですが潮で仕掛けが振られるので慣れてから
  • 角。堤防が曲がっているところ
  • 係船ロープや、水中に沈んだ構造物の際
  • イガイが密集して着いている壁。エサ場になっています

逆に、何も無いまっすぐな壁は薄いです。変化のあるところだけを拾って歩くと効率が上がります。

潮位も見ておくと変わります

満潮前後がいちばんやりやすいです。水位が上がると、チヌが壁の浅いところまで上がってくるためで、落とす距離が短くて済みます。

干潮だと壁が高く露出して、落とす距離が伸びます。アタリも取りにくくなるので、初めての日は満潮前後を狙うと成功しやすいと思います。

何月までできますか

一年中できます。ただ「気持ちよく釣れる」のは11月くらいまでです。

12月に入ると、岸壁のイガイはほとんど落ちます(年によっては残ることもあります)。チヌも深いところに落ちるので、足元の浅いタナでは出にくくなります。ここから先はカニやパイプ虫を使って、底付近をじっくり探る釣りに変わります。

数は落ちますが、冬に出るチヌは型が良いです。「1日粘って1枚、ただしその1枚が年無し級」——という釣りになります。初めての人には勧めませんが、ハマる人はここから抜けられなくなります。

慣れてきたら|目印を使う落とし込み

ここから先は、最初は読み飛ばして構いません。足元のヘチで釣れるようになってからで十分です。

「目印落とし込み」は、道糸に蛍光色の目印(専用の目印パイプ)を数個付けて、それが沈んでいく様子でアタリを取るやり方です。

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ヘチ(そのまま落とす)目印落とし込み
アタリの取り方糸そのものを見る目印の沈み方を見る
見やすさ慣れが要る◎ 分かりやすい
狙える距離足元少し沖まで
手間少ない仕掛け作りが増える

利点は、アタリが目で分かりやすくなること。目印が「スッと沈む」「止まる」「横に動く」——糸だけを見るより、明らかに判別しやすいです。

初めての人が最初からこれをやるべきかというと、私はまず何も付けずにやってみることを勧めます。糸を見る目が先に育ったほうが、あとが伸びると思うからです。

「アタリがまったく分からない」で心が折れそうなら、目印を入れてください。1匹釣れれば感覚が掴めます。そこからは何を使っても釣れるようになります。

釣果を伸ばすコツ

落とす前に、水中を見る

偏光グラスを掛けて壁を覗くと、意外なものが見えます。イガイがどの深さまで着いているか、水中に何が沈んでいるか、そしてチヌ本体。

見えチヌが居たら、その少し先に落として、目の前を通す。真上から落とすと逃げます。偏光グラスはこの釣りでは必需品だと思ってください。

同じ壁でも「面」で考える

壁は平らではありません。継ぎ目、角、へこみ、沈んだロープ——チヌはそういう変化に着きます。

だから「歩く」といっても、等間隔に落としていく必要はありません。変化のあるところだけを拾って、間は飛ばす。これで同じ時間で倍の場所を探れます。

エサを落とすときの持ち方

細かい話ですが、効きます。竿を持つ手とは反対の手で、道糸を軽くつまんでおく。そして落とし始めに指を離す。

これをやると、糸が出始めるタイミングが揃って、落ち方が安定します。いきなり離すと、リールが勢いよく回って糸が余分に出てしまい、アタリが取れません。

釣れない日にやること

この釣りで「何も起きない」日は普通にあります。そのときの手はこの順番です。

  1. まずエサを変える。イガイでダメならカニ、カニでダメならフジツボ
  2. 次にガン玉を変える。落ちる速さを変えると反応が出ることがあります
  3. それでもダメなら場所を大きく移動。同じ堤防の端まで行くくらい
  4. 潮が動く時間まで待つ。止まっている時間帯は本当に釣れません

ここから先は、こねくり回しても好転しません。タナや誘い方を細かく変えるより、場所を変えるほうがずっと効きます。

よくある失敗

  • 壁際に立ち込む。影が落ちてチヌが逃げます。30cm離れるだけで変わります
  • 1箇所で粘る。この釣りは歩く釣りです
  • 糸を見ていない。アタリは手ではなく目で取ります
  • イガイを大きいものだけ選ぶ。大きすぎると食い込みません
  • タモを持って行かない。足場が高い堤防で40cm超が来ると、抜き上げられません
  • ライフジャケットを着けない。壁際を覗き込む釣りなので、ここは省略できません

この中でいちばん多いのが、壁際に立ち込むことです。覗き込んで探したくなるのですが、上から影が落ちた時点で、その場所のチヌは沈みます。

足音も同じです。コンクリートの上を普通に歩くだけで、水中には響いています。「そっと近づいて、そっと落とす」——この釣りはそこが8割だと思ってください。

もうひとつ多いのが、粘ってしまうこと。エサを採るのに手間がかかっているぶん、「もったいない」と思って同じ場所に何度も落とす——これは私も最初やりました。

でもこの釣りは、いる魚を探す釣りです。2回落として反応が無ければ、その場所には今いない。3歩動くほうが、10回落とすより早いです。

チヌの落とし込みのよくある質問

ヘチ釣りと落とし込み釣りの違いは何ですか?

厳密な線引きはなく、同じ意味で使われることも多いです。そのうえで通じやすい使い分けは、ヘチ=足元の壁の真下落とし込み=壁際+少し沖まで含む総称前打ち=テトラの向こう側に投げて落とす、というものです。道具はほぼ共通で、竿の長さが変わるだけだと考えて差し支えありません。

落とし込みの竿は代用できますか?

2〜3mの万能竿や小継の振出竿なら、長さとしては使えます。ただし本当のネックは竿ではなくリールです。この釣りは糸が自重でスルスル出ていく必要があるので、スピニングリールだと落ち方が不自然になります。タイコリールは数千円からあるので、そこだけは買うのが近道です。

スピニングリールでもできますか?

できますが、やり方を変える必要があります。ガン玉を重めにして、エサが落ちる速さを錘に任せる形です。自然さは落ちますが、道具を買い足さずに試せます。1回やってみて面白ければ、タイコリールを買えばいいと思います。

エサは何を使いますか?

夏はイガイ(カラス貝)、それ以外の時期はカニが基本です。どちらも現地で採れます。イガイが着いていない時期はフジツボやパイプ虫も使われます。カニは釣具店でも買えます。

撒き餌は要りますか?

要りません。これがこの釣りのいちばん大きな利点です。バッカンもヒシャクも不要で、片手で持てる荷物で堤防に行けます。撒き餌が禁止されている釣り場でもできます。

時期はいつがいいですか?

夏(6〜9月)が本番です。岸壁にイガイが着いて、チヌもそれを食べに寄ります。冬でも釣れますが、数は落ちて型が良くなる傾向です。初めてなら夏にしてください。

アタリが分かりません。どうすれば?

手ではなく、糸を見てください。スルスル落ちていた糸がフッと止まる、横に走る、落ちる速さが変わる——それがアタリです。色付きの道糸を使うと格段に見やすくなります。明るい時間帯のほうが分かりやすいので、慣れるまでは昼間がおすすめです。

何号の針を使いますか?

チヌ針の2〜3号が標準です。エサに対して大きすぎると食い込まないので、イガイなら小さめ、カニなら少し大きめ、と合わせてください。

ガン玉は必ず付けますか?

付けない日もあります。夏の浅いタナで食うときは、イガイの重さだけで落とすほうが自然です。ただし風がある日に軽すぎると、糸が流されて壁際に落ちません。まず「狙った場所にまっすぐ落ちているか」を満たしたうえで、いちばん軽いものを選ぶのが順番です。

道糸はPEでもいいですか?

ナイロンにしてください。PEは軽すぎて水面に浮いてしまい、そもそも自然に落ちていきません。さらに壁は牡蠣殻とフジツボだらけで、PEは擦れに弱いので一発で切れます。ナイロンの2〜3号、色付きが基本です。

何月までできますか?

一年中できます。ただし気持ちよく釣れるのは11月くらいまで12月以降はイガイが落ちるので、カニやパイプ虫で底付近を探る釣りに変わります。数は落ちますが型は良くなるので、狙いが変わると考えてください。

フカセ釣りとどちらが釣れますか?

撒き餌で寄せられる分、フカセのほうが数が出る日は多いです。ただし真夏の壁際は落とし込みが強い場面もあります。それでも落とし込みは道具が少なく、撒き餌も要らず、思い立った日に出られます。釣果ではなく手軽さで選ぶ釣りだと思ってください。

まとめ

  • 「落とし込み」には船の青物狙いの釣りもあります。この記事は堤防のチヌのほう
  • ヘチ・落とし込み・前打ちの違いは、ざっくり「どこまで届かせるか」
  • 竿は2〜3mなら代用が利く。ネックはリールで、タイコリールが要る
  • 仕掛けは道糸+フロロのハリス+針。サルカンを使わないので「直結」と呼びます
  • 夏はイガイ、それ以外はカニ。どちらも現地で採れます
  • アタリは手ではなく糸で取る。1箇所で粘らず歩く

最初に買うものだけ、もう一度

手持ちに2〜3mの竿があるなら、買い足すのはこれだけです。

ここは正直に3段に分けます。「これだけ」と言って安く見せるほうが記事としては気持ちいいのですが、本文で「必需品」と書いたものを買い物リストから外すのはフェアではないので。

【必ず要るもの】

  • タイコリール(黒鯛リール)。ここだけは代用が利きません
  • 色付きのナイロン道糸 2〜3号。アタリを見るために色は必須
  • フロロのハリス 1.5〜2号(道糸に直結して使います)
  • チヌ針 2〜4号とガン玉。どちらも数百円
  • エサ掻き。イガイを剥がす道具。無いとエサが採れません
  • ライフジャケット。壁際を覗き込む釣りなので省略できません
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【足場が高い堤防に行くなら要るもの】

  • タモ(玉網)と柄ここがいちばん高くつきます。40cmを超えると抜き上げられません

【あると釣果が変わるもの】

  • 偏光グラス。壁の中とチヌ本体が見えるようになります

撒き餌もバッカンもヒシャクも要りません。エサ代も基本ゼロです。「必ず要るもの」だけなら、チヌ釣りの中では軽いほうだと思います。ただしタモまで揃えると、そこそこの金額になります。そこは隠さずに書いておきます。

撒き餌も要らず、荷物は片手で持てる。チヌ釣りの中でいちばん身軽に始められる釣りです。近所の堤防で試してみてください。

道具を揃える前に「そもそもチヌってどんな魚か」を知りたい人は、こちらもどうぞ。

ほかの釣り方と比べたい人は、こちらからどうぞ。

ルアーで狙う方法もあります。エサを採らなくていいので、そちらのほうが手軽な場合もあります。

執筆:みきや(現役の釣具店スタッフ。売り場はルアー担当ですが、店の部門制でエサ釣りも自分でやります)

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